FXでトレードを続け、知識やノウハウが蓄積されると、トレーダーの多くは自分自身の勝ちパターンが出来上がってきます。
そうなった時に多くのトレーダーが考えるのは、「トレードを自動化することでさらに高い利益を手にできないか」ということ。
確かに勝率の高い手法を自動化できたなら、チャートに張り付いておく必要がなくなり、決済や売買のタイミングに悩む時間を減らすことができます。確保した自由な時間を使って、趣味やプライベートで有意義に過ごすことも夢ではないでしょう。
そんなトレードの自動化を実現するツールこそがEA(自動売買)ですが、運用にあたっては注意点も存在します。そこで今回は裁量トレードとEA(自動売買)、2種類のトレードスタイルについて、自動売買で利益を狙うことはできるのか、メリットやデメリットも踏まえながら具体的に解説していきます。
基本的な知識を得た上で正しく使えば、EAは寝ている間も稼いでくれる頼もしい相棒になります。まずは運用にあたって何を知っておくべきなのか、確認することから始めましょう。
- 裁量トレードとEA(自動売買)はトレードスタイルとして全く異なる性質を持つ
- EAは裁量トレードでトレーダーを悩ませる感情を取り除けるので成績が安定しやすい
- 裁量トレードとEA(自動売買)の良さを両立させたツールも有力な選択肢
裁量トレードとは
裁量トレードとは、自分の考えをもとに手動でトレードすることを指します。
FXのトレードは、基本的に以下のような流れになります。
裁量トレードでは、これらの手順の全てを自分の考えで判断し、自分の手で実行することになります。
FXでトレードを始めようと考えた時、大半のトレーダーが取り組むのはこの裁量トレードです。テクニカル分析やファンダメンタル分析、参考書、SNS、ネットニュースなど様々な情報を得ながら試行錯誤し、最終的には自分自身の判断と行動によってトレードを成立させています。
指値注文や逆指値注文を活用するトレードであれば、一見、自動で売買が成立しているようにも見えるかもしれません。しかし、どこにエントリーポイントや利確、損切りポイントを置くかはトレーダー自身の判断なので、これらの注文方法を用いることも裁量トレードの一部となります。
自身で売買に関する判断を行っていれば裁量トレードに分類される、ということですね。
裁量トレードのメリット
裁量トレードのメリットには、主に以下の3つが挙げられます。
裁量トレードなら、トレンドの発生や反転など、相場の状況に応じて好きなタイミングでいつでも売買できます。すでにポジションを保有している場合でも、テクニカル分析に則って利益を伸ばしたり、反対に損失幅を抑えるため決済する、といった選択が可能です。
また、チャート分析からエントリー、決済に至るまで全ての判断を自分自身でこなすことも裁量トレードの大きな特徴です。
そうして多くの経験を積むことで培われる実践的なトレードの感覚は、EA(自動売買)での取引では得られません。一つひとつの判断が自己責任となる裁量トレードには難しさもありますが、反面、着実に成績が上向いてきた時には自分自身の成長を強く実感できるでしょう。
裁量トレードはトレーダー自身の責任が大きい分、成功も失敗も強く実感しやすいのです。
裁量トレードのデメリット
裁量トレードのデメリットは、集約すれば感情に振り回されてしまいやすい、という一点です。
FXでは、常に相場を冷静に分析してトレードに臨むことが求められます。しかし、感情的になっている時やメンタルコントロールがうまくいっていない時は、分析力が落ちるだけでなく客観的な視点も持てなくなり、トレードにおける様々な判断を間違えてしまうことが珍しくありません。
感情のコントロールがうまくいかなくなった時に生じやすい問題には、以下のようなものが挙げられます。
しかしそもそも、プロスペクト理論によって人間には損失回避性があることが証明されています。
プロスペクト理論によると、人間は利益を得る喜びに対して損失を被る苦痛を2倍以上も強く感じることもわかっています。つまり、損失を避けたいという感情は元来非常に出やすいものである一方で、「損失を回避したい」という気持ちが働けば働くほど、正常な判断力は鈍っていくのです。
裁量トレードでは、どの程度の利益を狙うかというトレードプランも、資金管理の方法もトレーダー自身の判断と行動に委ねられます。
資金管理をはじめとしたトレードルールを守り、再現性のある分析と手法で利益を出していくためには、自分自身を制御する力が欠かせません。ただ、わかっていても感情的になることを抑えることが難しいのが人間であり、多くの裁量トレーダーが苦しんでいる部分といえます。
EA(自動売買)とは
EAは「Expert Adviser(エキスパートアドバイザー)」の略称で、システムトレードとも呼ばれる自動売買プログラムです。
EAにはあらかじめ売買の条件が設定されているため、稼働させているだけで自動的に売買を繰り返してくれます。トレーダー自身がチャートを見ていなくてもエントリーから決済までEAが行ってくれるため、裁量トレードとは正反対の取引方法といえるでしょう。
裁量トレードでなかなか結果が出ない場合でも、EAを導入することで利益が出せるようになるケースは多々あります。裁量トレードとEAのどちらが合っているかはその人次第ですが、信頼性のあるロジックを採用しているならEAも有力な選択肢となります。
EAをうまく活用すれば、チャートを見る時間を最小限にできるので、フルタイムで働きながらFXで安定した副収入を得ることも可能になりますよ。
EA(自動売買)のメリット
EAのメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
感情の起伏や主観による思い込みを排除できることは、EAの最大の強みです。
相場に向き合っていると、どんなに綿密に練ったトレードプランがあっても途中で揺さぶられてしまうことは有り得ます。裁量トレードでチャートを眺めているうちに不安や焦りに駆られ、利確ラインや損切りラインを手動で変更してしまうトレーダーは後を絶ちません。
しかしEAには感情がないため、感情の変化による判断ミスの可能性をゼロにすることができます。EAなら不確定要素なしで、裁量トレードよりも安定したトレードを実現できるのです。
また、使える時間の自由度が増すこともEAを利用する大きなメリットといえます。
EAは裁量トレードと違い、トレーダーが自らチャートを分析する必要がありません。さらにポジションの保有中や利確・決済時にもチャートを見ないで自動的に取引が行われるため、相場と向き合う時間は裁量トレードよりもはるかに短縮されます。
多くの時間を自分のために確保できれば、趣味やプライベートの時間を取りやすくなるでしょう。また、仕事や家事でFXに対して時間を取れない、という場合もEAは心強い味方になります。
時間に余裕があれば気持ちにも余裕が生まれて、チャートを見る際も冷静に分析ができそうです。
EA(自動売買)のデメリット
一方、EAには以下のようなデメリットも挙げられます。
EAの運用を始める前に絶対に知っておきたいのは、EAは必ず勝てるような魔法のツールではない、ということです。
人間のトレーダーが裁量トレードをする時と同様、EAの稼働時にも損失が発生することは有り得ます。重要なのは週間や月間、年間など一定期間でトータルして利益が出ているかどうかであり、一時的に負けることがあっても問題ありません。
ただし、世の中には最初から詐欺を目的として作られた悪質なEAも存在します。言ってしまえば利益が出せるかどうかはEAのクオリティに依存してしまうため、EA利用時にはどのようなロジックで動いているのかトレーダー本人が確認する必要があるのです。
「長期にわたって成果が期待できるロジックかどうか」を自分で判断できないと、EAを運用しても失敗する可能性が高くなってしまいます。自動売買であっても、稼働させるのはあくまでもトレーダー自身なのです。
自動で売買を行ってくれるからといっても、過信は禁物です。
EAに任せきりでチャートを読む力を鍛えていないと、相場に異変が生じた際に気づくことが遅れ、思わぬ損失のきっかけになりかねません。トレーダーとしての成長を止めないためにも、毎日チャートをチェックしたり、ロット数など自分で管理できる部分は定期的に見直すことを心がけましょう。
EA(自動売買)使用時の注意点
EAを使用する際には、完全放置してはいけない点に注意してください。
EAはチャートを見ていない間も自動で売買を行ってくれることが利点ですが、相場急変時には手動で停止させるなどの対応が求められます。
経済指標発表時や要人発言があった時、また災害や戦争、テロなどが発生した時には、相場が大きく反応することがあります。そういったタイミングでもEAを稼働したまま放置していると、大きな損失が出ていても決済せず、資金を目減りさせてしまうリスクが伴うためです。
もちろん、突発的な要人発言や災害の発生は事前に対策を取ることは困難です。ただ、下でまとめたアメリカの経済指標のように、相場の変動に大きく影響を与える重要度の高い指標は、証券会社のホームページなどで日時を確認できます。
経済指標 | 発表時期 | 重要度 |
雇用統計 | 原則毎月第一金曜日 | ★★★★★ |
FOMC(政策金利&声明発表) | 年8回(約6週間ごと) | ★★★★★ |
ISM製造業景況指数 | 毎月第1営業日 | ★★★★☆ |
ISM非製造業景況指数 | 毎月第3営業日 | ★★★★☆ |
四半期GDP(速報値) | 毎年1月・4月・7月下旬 | ★★★★☆ |
消費者物価指数(CPI) | 毎月中旬 | ★★★★☆ |
小売売上高 | 毎月第2週 | ★★★★☆ |
「自動売買」といっても、ほったらかしにしておいてはいけないんですね。
その通りです。パソコンやスマートフォンにもメンテナンスが必要になるように、EAも定期的にユーザーが状況を確認しなければ本来の力は発揮できません。
また、相場は常に変化しているため、それまで利益の出ていた設定が通用しなくなる場合も有り得ます。
特に、レンジ相場用のEAをトレンド相場になってからも稼働し続けたり、逆のパターンで稼働した時にはそういった状況に陥りがちです。そのため、少なくとも1日に1回はチャートやトレードの結果を確認し、相場の状況に応じてメンテナンスを行いましょう。
EAとインジケーターの違い
ここで、どちらもMT4で使用するEAとインジケーターの違いについて、気になる方もいるかもしれません。
結論からいうと、EAは実際の売買をするプログラムである一方、インジケーターは相場の状況を分析するための指標であるため、それぞれの役割と性質は全く異なります。
ただし、EAの多くにはエントリーや利確、決済タイミングを決めたり、それぞれの条件を設定するために、何かしらのインジケーターが活用されています。そのため、EAの中にはインジケーターが組み込まれていることがほとんどです。
なお、インターネット上にはインジケーターを無料でEA化できるツールも存在しますが、それほど細かな条件設定はできません。大雑把な条件でしかトレードできないとどうしても再現性は低くなるため、無料ツールだけで簡単に収益化を目指したい、となっても極めて難しいでしょう。
EAやインジケーターは、インターネットで探すと高額販売されているものも多数見つかります。ただ、ロジックが公開されていないなど、信憑性に欠けるものも少なくないため、購入を検討する際には十分に注意してください。
裁量トレードとEA(自動売買)の違い
ここまで紹介したとおり、裁量トレードとEAは大きく異なるトレードスタイルです。
それぞれの特徴についてまとめると、下の表の通りです。
トレードスタイル | 裁量トレード | EA(自動売買) |
主な特徴 | 自分自身の判断で都度トレードする 相場と向き合う時間が長い 感情に左右されて損失を出しやすい 相場の急激な変化にも対応しやすい トレードが経験や知識として残りやすい | 事前の設定通りに自動でトレードする 相場と向き合う時間が短い 感情の変化による損失が出にくい 相場の急激な変化に弱い トレードが経験や知識として残りにくい |
裁量トレードとEAには、どちらのトレードスタイルにもメリット・デメリットがあります。どちらが自分に向いているのかは、最終的には両方のトレードをしてみることが一番ですが、その足掛かりとしてそれぞれのトレードに適していると考えられるトレーダーのタイプを紹介していきます。
裁量トレードが向いている人
裁量トレードに向いているのは、以下のような人です。
上で挙げたタイプに当てはまらない場合も、FXを始めて間もない方は裁量トレードがおすすめです。裁量トレードで実践経験を積み、トレード結果を振り返ることで「何が良くて、何か悪かったのか」を考え自身の糧とすることができます。
裁量トレードで得た経験は、EAの運用においても危機回避などの面で必ずプラスに働くので、裁量トレードの技術は身につけているに越したことはありません。
EA(自動売買)が向いている人
EAの利用に向いているのは、以下のような人です。
EAを使えば、トレードにあまり時間が割けない場合も効率よく資金を運用できます。特に、裁量トレードで知識も経験もあるのに感情面のコントロールがうまくいかず、なかなか成果が伴わないという方は、EAは一度は試す価値があるといえるでしょう。
裁量トレードとEAはどちらも向き不向きがある
裁量トレードとEAはどちらも長所と短所があり、一概にどちらが優れていると断言はできません。
しかし、トレーダーによって得意な相場や通貨ペア、取引する時間帯などは多種多様なので、トレードスタイルにも必ず向き不向きが存在します。何より、自分にとって好みのトレードスタイルを選ぶことはFXと長く付き合っていくためには非常に大切なことです。
自身のトレードスタイルを確立し、突き詰めていくこと熟練トレーダーへの第一歩なので、どんな方法で利益を目指すのかじっくり検討してみてください。
まだFXの経験が浅く、どちらを選んでいいかわからない場合は、まず裁量トレードに慣れてからEAを検討してみましょう。相場は長い歴史の中で同じ動きを繰り返していることも多いため、過去の値動きを参考に組み上げられるEAは次のステップへと進むための大きな手助けになるはずです。
「決して放置することはできないが、要点を抑えることで再現性の高いトレードを自動で繰り返すことができるEA」と、「相場とその都度向き合いながら手動で行う裁量トレード」とで、自分に合う方を選びましょう。
裁量トレードもEAも合わなければ「裁量EA」という選択肢もある
もし裁量トレードでも、EAでもうまくいかないようなら、「裁量EA」という選択肢もあります。
裁量EAは、当ブログの管理人である僕が自ら開発した、全く新しいツールです。僕は過去に280万円以上をEAにつぎ込み、50種類以上のEAを試してきました。しかし結果は惨敗で、多くのEAがうたい文句としているような結果を出すことは一度もできませんでした。
そこでこれまでにも解説してきた、下記のような裁量トレードとEAそれぞれの欠点を補い合えるよう、両者を組み合わせたツールとして裁量EAを開発したのです。
トレードスタイル | 裁量トレード | EA(自動売買) |
欠点 | 拘束時間が長くなりやすい 感情に左右されて損失を出しやすい | トレーダーがポジションを吟味できない トレードが経験や知識として残りにくい |
僕が開発した裁量EAでは、トレーダーが担うのはエントリー「だけ」です。
EAに任せきりにしてしまうと不安がある方でも、裁量EAならエントリー判断はトレーダーに委ねられるため、ポジションの動向はEA以上に落ち着いて見守ることができます。一方で利確・損切りなど、メンタルコントロールが必要な部分はEAが担うので、苦手意識がある方も心配はいりません。
現在、裁量EAは公式LINEで無料配布中です。もし裁量EAに興味があれば、こちらのページをチェックしてみてください。
まとめ:
裁量トレードとEA、どちらを選んでも結果的に損益がプラスになったなら選択は正解といえます。
しかし、トレード環境は人によって大きく異なるものであり、どちらのスタイルが合うかは実際にある程度の期間試してみるまではわかりません。ただ、場合によっては裁量トレードもEAも合わないことも考えられます。
原因としては資金管理やメンタルコントロールなども考えられますが、どうしても解決できないようなら両者の利点を組み合わせた「裁量EA」の活用も選択肢のひとつです。公式LINEでは裁量EAの無料配布のほか、トレードに関する相談も受け付けているので、気軽に登録してみてください。
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