FXチャートの見方がわからない!初心者がまず知るべき2つのポイント

チャート分析

FXを始めたばかりの方からは「チャートを開いて眺めてみたものの、見方がよくわからない!」という悩みをよく耳にします。

確かに参考書などではテクニカル手法に関しては事細かに記載があるものの、チャートに関しては詳しい解説がないことも少なくありません。また、チャートをよく理解しないまま小手先のテクニカル手法を取り入れたばかりに損失を繰り返し、市場から退場していくトレーダーも数多く存在します。

チャートの理解はFXでトレードをするうえでの基本のキであり、一度しっかりとチャート見方を理解をしておけば大きな損失を繰り返すということは少なくなります。

そこでこの記事では、FXでトレードをするうえで重要なチャートの見方と、それを構成しているローソク足について図を用いながら詳しく解説していきます。

チャートの読み方を知らずに市場へ参加すると、手痛い洗礼を受ける可能性が非常に高いです。FXで早々に退場ということにならないように、まずは基礎を固めておきましょう。

この記事でわかること
  • チャートの見方がわからない時はトレンドを把握することから学ぶべき
  • 上位の時間足から環境認識を行いチャート全体の大局観を持つ
  • チャートを構成する1本1本のローソク足に着目するとより深い意味が見えてくる

チャートの見方の基本はトレンドを把握すること

FXでトレードをするときに大切なことは、「今の相場がどのトレンドにあるのか」という事実をチャートから読み解き、本質を見極めることです。

FXは買い手と売り手の思惑や戦略から成り立っており、どちらの勢力が強いのかがチャートとして視覚的に表されるようになっています。

つまり、チャートは買いと売りのどちらが強いか、はたまた同レベルの強さなのかを表しているのです。買いが強い時には上昇トレンド、売りが強い時には下降トレンド、買いと売りが拮抗している時にはレンジ相場となります。

まずは基本となる2つのトレンドとレンジ相場の特徴について、詳しく解説していきます。

上昇トレンド

図の通り、「高値と安値を切り上げながらチャートが右肩上がりになっている」状態を上昇トレンドといいます。

下の図は上昇トレンドをローソク足で表したものです(ローソク足については後ほど解説します)。

買い手の勢力が売り手を上回っているため、価格が上下に動きながらも直近の安値を下回ることなく高値を更新していく状態が続いています。この状態が続いている間は上昇トレンドが継続していると判断することができますが、崩れた時には上昇トレンドが終わりを迎える警告になります。

下降トレンド

反対に「高値と安値が切り下がりながらチャートが右肩下がりになっている」状態を下降トレンドといいます。

下の図は下降トレンドをローソク足で表したものです。

売り手の勢力が買い手を上回っており、価格が上下に動きながらも直近の高値を上回ることなく安値を更新していく状態が続いています。この状態が続いている間は下降トレンドが継続していると判断することができますが、崩れた時には下降トレンドが終わりを迎える警告になります。

レンジ相場

レンジ相場は「一定の範囲内でチャートが上下を繰り返している」状態のことで、別名がボックス相場です。

価格が上下しながらも、高値や安値が大きく上回らずに一定の枠内に収まっている状態が続いていればレンジ相場と判断できます。FXでは前述のトレンド相場はチャートの約3割に留まり、約7割がレンジ相場内にあるといわれています。

レンジ相場の上限であるレジスタンスライン(抵抗線)もしくは下限であるサポートライン(支持線)の中でチャートが行き来するため、相場の範囲を四角の箱で囲むことができるのがボックス相場とも呼ばれる由縁です。

レジスタンスラインやサポートラインを突き抜けた場合、レンジ相場が崩れて上昇トレンドや下降トレンドに移行しやすくなり、これを「レンジブレイク」と呼びます。ただし、ラインを抜けたと思ってもだましだった、というケースもあるため、見極めは慎重に行わなければいけません。

レンジ相場が全体の7割を占めるなら、トレードはレンジ相場で行った方がチャンスが多くなりますか?

いえ、FX初心者におすすめなのはトレンド相場です。レンジ相場に比べてチャンス自体は減ってしまいますが、安定した成績を残しやすいので、初心者でも利益を狙える相場といえます。

FXのチャートには3種類あり日本ではローソク足が主流

チャートの表示方法は大きく分けて以下の3種類で、それぞれに特徴があります。

  • ローソク足
  • ラインチャート(折れ線)
  • バーチャート

日本では情報量が多く、陽線や陰線を見分けやすいローソク足が主流で、チャートにおける一般的な表示方法となっています。しかし欧米ではラインチャートやバーチャートを好んで使うトレーダーも多く、どれを使うかは優劣ではなく好みです。

3種類の表示方法の特徴を、ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

ローソク足

ローソク足は、1つの単体から「時間ごとの始値・終値・高値・安値」の4つの情報を読み取れることが最大の特徴です。

四角で表されている実体がその時間軸における始値と終値で、実体に付いている上ヒゲの頂点はその時間軸における高値を、下ヒゲの底辺は安値を表しています。

また、上の図では陽線を白色、陰線を黒色で表していますが、実体の色から陽線や陰線を判断できるのもローソク足のメリットです。最初は情報量の多さに戸惑うかもしれませんが、見方に慣れてくれば4つの値と陽線・陰線の情報を簡単に読み取ることが可能です。

ラインチャート(折れ線)

ラインチャートは「時間ごとの終値をつなげた折れ線」で表されています。

下の図で表した中の赤丸がその時間軸における終値であり、これらを線で結ぶことでラインチャートが形成されていきます。

始値や高値・安値が分からないため情報量は少ないですが、ローソク足やバーチャートで見られる陽線や陰線、ヒゲに惑わされずにチャートを分析することができるシンプルさが特徴です。トレンドラインなどを引く際も結ぶべきポイントが限られているため、迷いにくいという利点があります。

バーチャート

バーチャートは「時間ごとの始値・終値・高値・安値」を1つのバーで表示しています。

上記の4つの値を表した4本値のほかに、始値を除いた3本値でもチャートを表示されることもあります。下の図は4本値で表示した場合のバーチャートです。

バーの左に出ている横線が始値、右に出ている横線が終値となっていて、上下はそれぞれ高値・安値を表します。

バーチャートはローソク足と同等の情報量を持ちますが、色分けがなく、非常に簡潔な見た目です。一目で陽線や陰線を判断しづらい難点はあるものの、情報量が抑えられている分、トレード中に心理的な影響を受けづらいというメリットがあります。

時間足を変更し上位足からチャートの大局観を持つ

チャートの表示方法とあわせて覚えておきたいのが、上位足のチャートで現れているトレンドほど強くなるという投資の原則です。

チャートは時間軸ごとに見え方が異なるものですが、例えば、直近の数日で下降が続いていて、時間足や分足で見ると下降トレンドになっている場合でも、日足や週足の長い時間軸で見た場合には上昇トレンドとなっていることがあります。

このような相場で、分足などの短い時間軸だけを見て判断すると上位足のトレンドに逆らうことになってしまいます。そのため、まずは日足や週足などの上位足において上昇or下降トレンドの中にあるのか、またはレンジ内にあるのか、大局観を持つことが大切です。

上位足でチャートの状況を確認した後、時間足や分足でチャートを見ながら、詳細なエントリーポイントを探していくことがテクニカル分析における王道のトレードとなります。

チャートを形作るローソク足には1本1本に意味がある

チャートの基本を抑えたところで、ここからはローソク足の意味をさらに詳しく見ていきましょう。

日本ではチャートを表示する時、一般的にローソク足が使われています。そのため、日常的にニュースやネット記事でよく目にしているチャートもローソク足なのですが、重要なのはチャートはローソク足の集合体で構成されているということです。

チャートそのものにもトレンド相場やレンジ相場といった情報は表れますが、1本1本のローソク足がどのような意味を持っているかを知ることはさらに深いトレンドの機微や今後の変化を捉えることにつながり、FXトレードで利益を出す上で極めて重要な情報源となるのです。

ローソク足の1本1本が示す意味がわかっていれば、チャート全体として見た時の印象も変わりそうですね。

そうですね。ただチャートの形を眺めているだけより、はるかに多くの情報を手にすることができますよ。

そうした読み取りができるようになるためにも、形の異なるローソク足がそれぞれにどのような意味を持っているのか、ひとつずつ解説していきます。

陽線・陰線・ヒゲ

最初に押さえておきたいのは、陽線・陰線・ヒゲというローソク足のパーツです。

陽線とは「始値よりも終値が高くなった時」のローソク足の総称です。

四角で囲まれた実体の最下部が始値、最上部が終値となっており、実体の部分はチャート上で白色や赤色で表されることが多くなっています。ローソク足が陽線なら、その期間において「値段が上がった」ことを表します。

一方で陰線は「始値よりも終値が安くなった時」のローソク足の総称です。

四角で囲まれた実体の最上部が始値、最下部が終値となっており、実体の部分は黒色や青色で表示されることが多くなっています。陽線とは逆に、その期間において「値段が下がった」ことを表すのが陰線のローソク足です。

また、ローソク足実体の上下についている線のことを「ヒゲ」と呼び、上ヒゲはその時間軸における高値を、下ヒゲは安値を表しています。

  • 陽線
  • 陰線
  • ヒゲ

小陽線・小陰線・コマ

出現頻度が高く、優先して覚えておきたい形が小陽線・小陰線・コマです。

陽線の中でも実体とヒゲが短いものを「小陽線」、陰線の中でも実体とヒゲが短いものを「小陰線」と呼びます。

小陽線や小陰線が現れる時は相場に迷いが生じていたり拮抗している状態を示しており、あまり大きく動かない持ち合いの状態となります。これらのローソク足が連続して出現した後に大陽線や大陰線が出現した場合、相場の転換やトレンド開始のサインとなることが多いです。

また、実体が短く、上ヒゲと下ヒゲがどちらも長いものは「コマ」と呼ばれます。

小陽線や小陰線と似ていますが、コマは「相場が上下しながらも結局は始値の近くに収まった」ことを表しているため、相場の反転を示唆する場合があります。 

  • 小陽線
  • 小陰線
  • コマ

大陽線・大陰線・丸坊主

小陽線や小陰線とは反対に実体の長い陽線を「大陽線」、実体の長い陰線を「大陰線」と呼びます。

どちらも相場が大きく動いた時に現れ、買いが強い時には大陽線、売りが強い時には大陰線が出現します。これらのローソク足の出現後は大陽線なら上昇、大陰線なら下降が継続する可能性が高く、上下のヒゲが短いほどトレンドが強くなるサインです。

また、大陽線・大陰線の中でもヒゲがないものは「陽の丸坊主」「陰の丸坊主」で、その後も相場の上昇や下降が継続する可能性がさらに高くなります。これらの大陽線・大陰線の系統のローソク足が確認できたら、トレンドに沿ったトレードのチャンスといえるでしょう。

  • 大陽線
  • 大陰線
  • 陽の丸坊主
  • 陰の丸坊主

上影陽線・上影陰線・トンカチ

実体が短く上ヒゲが長いローソク足には、「上影陽線(うわかげようせん)」「上影陰線(うわかげいんせん)」「トンカチ」があります。

陽線の中でも上ヒゲの長い陽線が「上影陽線」、陰線の中でも上ヒゲの長い陰線が「上影陰線」です。どちらも強い売りの勢いで押し戻された形のため、相場が上昇した後に高値圏で出現すると下落相場への転換を示唆することがあります。

また、これらの上影のうち、実体が短く下ヒゲがないものは特に「トンカチ」と呼ばれます。

トンカチは始値から大きく上昇したものの、その後、大きく下落して始値付近で終値を迎えたことを示しており、上影陽線や上影陰線よりも強い相場転換のサインとなっています。底値圏で現れた場合、相場が上昇するサインとなることもあるので注意しましょう。

  • 上影陽線(うわかげようせん)
  • 上影陰線(うわかげいんせん)
  • トンカチ

下影陽線・下影陰線・カラカサ

実体が短く下ヒゲが長いローソク足だと、「下影陽線(したかげようせん)」「下影陰線(したかげいんせん)」「カラカサ」があります。

陽線の中でも下ヒゲが長い陽線が「下影陽線」、陰線の中でも下ヒゲが長い陰線が「下影陰線」です。どちらも買いの強さから最終的に押し上げられた形なので、相場が下落した後に底値圏で出現すると上昇相場への転換を示唆することがあります。

また、これらの下影のうち、実体が短く上ヒゲがないものは「カラカサ」と呼びます。

似た形にトンカチがありますが、カラカサの場合はトンカチとは反対に下落相場から上昇相場への強い転換サインとなっています。高値圏で現れた場合は「首吊り線」と呼ばれ、下落し始めるサインとなる可能性もあるため、出現した場所によって対応を変えなければいけません。

  • 下影陽線(したかげようせん)
  • 下影陰線(したかげいんせん)
  • カラカサ

十字線・トンボ・トウバ

陽線や陰線のほかに、始値と終値がほぼ同じ価格となった場合は、同時線というローソク足がつくられます。同時線としては「十字線」「トウバ」「トンボ」が代表的です。

始値から高値と安値を行き来した後、始値の付近で終値を迎えた時に出現するのが「十字線」です。

十字線の上ヒゲと下ヒゲが同じ長さの場合には相場が拮抗していることを表しており、単体ではトレンド転換などのサインにはなりません。

ただし、上ヒゲの長い十字線は上昇トレンドから下降トレンドへの転換下ヒゲの長い十字線は下降トレンドから上昇トレンドへの転換のサインとなる可能性があります。

また、同時線の中でも上ヒゲがないT字型のものが「トンボ」です。

トンボは始値から一旦は下落したものの、その後は相場が上昇し、結局は始値の付近で終値を迎えた時に出現します。下降トレンドの中で長い下ヒゲをもつトンボが現れた場合、トンカチと同様で非常に強い上昇トレンドへの転換サインとなります。

反対に、下ヒゲがない逆T字型の同時線が「トウバ」です。

始値から一旦は上昇したものの、その後は相場が下落し、始値付近で終値を迎えた時の形です。上昇トレンドの中で長い上ヒゲをもつトウバが現れた場合、カラカサと同様で非常に強い下降トレンドへの転換サインとなります。

  • 十字線
  • トンボ
  • トウバ

まとめ:チャートの見方がわからない時はトレンドとローソク足から見ていく

今回は、チャート全体の見方とチャートを構成しているローソク足の形について解説しました。

ポイントを復習すると、

  • チャートは上昇トレンド、下降トレンド、レンジ相場の3種類がある
  • 現在のチャートが3種類のどれに属しているのかを知る
  • チャートはローソク足の集合体である
  • ローソク足の意味を知ることがチャートの分析につながる

となります。

普段何気なく見ているローソク足の11にも、相場の上下やトレンド相場の転換を迎えるサインが隠れています。

最初はローソク足が何を示しているのか、理解するのに時間がかかるかもしれません。しかし、慣れてくればチャートを見て瞬時にトレンド相場かレンジ相場かだけでなく、売買の細かな動向まで判断できるのがラインチャートやバーチャートにはないローソク足の一番の特徴です。

今回の記事を参考にしながら、ぜひ一度チャートとじっくり向き合ってみてください。

ローソク足の意味を知り、トレードの時に意識して見ていくことで、徐々にチャートを読む精度も上がっていきますよ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました