FXで勝つためには、トレンドの波に乗ることが何より大切です。
しかし、トレンドの波に乗るために重要となるトレンドラインの引き方や活用方法がよくわからない、という方も多いのではないでしょうか。
参考書やインターネットで他人が引いているのを見ると簡単そうに見えるトレンドラインですが、引き方1つで相場に対する見え方は全く別物になります。トレードの結果を左右することに繋がるため、プロのトレーダーでも扱うのが難しいという意見があるほど奥深いものです。
そこで今回は、トレンドラインの持つ基本的な意味合いやラインの正しい引き方、他のテクニカル手法と組み合わせたトレード手法を順に紹介していきます。
- トレンドラインは相場の状況的に3種類に分類される
- ローソク足のヒゲの先端同士を結ぶと機能するトレンドラインになりやすい
- ほかのテクニカル指標との組み合わせでトレンドラインは本領を発揮する
トレンドラインとは
トレンドラインとは、相場の方向性を分析する際にチャート上の高値同士、もしくは安値同士を結んで引く線のことです。
しかし、同じ高値同士・安値同士を結んだトレンドラインでも、下記の3タイプで全く違う役割を果たします。まずはそれぞれのトレンドラインの違いについて、詳しく理解しておきましょう。
上昇トレンド時のトレンドライン
1つ目のタイプは、上昇トレンド時のトレンドラインです。
相場が上昇トレンドの場合、2点の安値同士を結んだ線がトレンドラインになります。このラインは上昇トレンドの継続中、相場の安値を支えるサポートラインとして機能し、トレンドラインにタッチした際には上方向への反発が予測されます。
下降トレンド時のトレンドライン
2つ目のタイプは、下降トレンド時のトレンドラインです。
上昇トレンド時とは反対に、相場が下降トレンドの場合には2点の高値同士を結んだ線がトレンドラインになります。このラインは相場の高値に対して抵抗帯、すなわちレジスタンスラインとして機能し、価格が近づいてきた時には下方向への反発が予測されます。
レンジ相場時のトレンドライン
3つ目のタイプは、レンジ相場時のトレンドラインです。
レンジ相場(ボックス相場)の場合には、上昇トレンドや下降トレンドの時とは違い、トレンドラインが2種類の役割を果たすことがあります。安値同士を結んだ線はサポートライン、高値同士を結んだ線はレジスタンスラインとして機能するためです。
レンジ相場時のトレンドラインは、相場の動きに対して水平に引くこともあるため、水平線と同義であると考えて相違ありません。
注意すべきは、相場が一定価格内で上下を繰り返しながら持ち合いになると、ラインブレイク時にそれまで溜まっていた大きなエネルギーが解放されることです。損切り注文などを巻き込みながら、ブレイクした方向に急激なトレンドが発生する可能性が高くなることを覚えておきましょう。
トレンドラインとチャネルラインの違い
トレンドラインには、類似するものとしてチャネルラインも存在します。
前述の通り、トレンドラインは上昇相場においてサポートライン、下降相場においてはレジスタンスラインとしての役割を持ちます。そして、それぞれの線をローソク足の反対側に平行移動させたものがチャネルラインです。
チャネルラインは別名でアウトラインとも呼ばれ、トレンドラインの役割とは反対の機能を持ちます。上昇相場におけるチャネルラインであればレジスタンスライン、下降相場におけるチャネルラインであればサポートラインとして働くということです。
チャネルラインを引いておけば、トレンドラインだけでは読み取りづらい情報の把握に役立ちます。
例えば上昇トレンド中、トレンドラインはサポートラインとして機能しますが、上方向への値動きに関してはトレンドラインだけでは予測できません。しかし、チャネルラインを引けばレジスタンスラインとして働くため、「次にどのあたりで高値が反発するか」を予測できるようになります。
下降トレンドでも同様に、トレンドラインはレジスタンスラインとして、チャネルラインはサポートラインとして機能します。このように、トレンドの中で上下する値幅を予測できることがチャネルラインの最大の特徴で、エントリーや決済時の目安とすることが可能です。
トレンドラインの正しい引き方
様々な強みがあるトレンドラインですが、誤った引き方をしてしまっていると思うような効果が得られません。
場合によっては1本のトレンドラインで相場に対する見え方が全く変わり、トレードの結果を大きく左右してしまうことも有り得ます。トレンドラインを使って利益を上げていくためには、実践を重ねて経験を積み、ラインを引く精度を上げていく必要があるのです。
では有効に機能するトレンドラインを引くにはどうすれば良いか、については以下の2つのポイントを意識しましょう。
ローソク足のヒゲの先端を含む2点を結ぶ
トレンドラインの引き方で最も意識すべきなのは、ローソク足のヒゲの先端同士を結ぶことです。
ローソク足には実体とヒゲがあり、どちらでトレンドラインを引くかについて明確なルールはありません。そのため、トレンドラインの引き方はトレーダーによって異なり、実際に引かれたトレンドラインが人それぞれ微妙にずれていることも多々あります。
ただ、日本ではローソク足が最もメジャーなチャート表示方法ですが、海外ではラインチャートやバーチャートの方が主流です。特にラインチャートは終値のみを結んで描画しているため、ローソク足なら終値であるヒゲの先端を結ぶことが効果的と考えられます。
仮に相場が上昇トレンドであればローソク足の下ヒゲの先端、すなわち安値2点を結びましょう。反対に下降トレンドであればローソク足の上ヒゲの先端、高値2点を結ぶことでトレンドラインが有効に機能しやすくなります。
ローソク足の実体の先端、つまり始値や終値を交えてトレンドラインを引くことも、誤りというわけではありません。ただし、相場に対する読み取り方も変わってくるため、まずは基本に忠実に、高値・安値同士を結ぶトレンドラインの引き方を身につけましょう。
相場の状況を見極める補助線としての引き方を意識する
トレンドラインを引いていく中では、斜めにラインを引けずに迷う場面も出てくるかもしれませんが、ヒゲの先端を見て高値・安値を結ぶというポイントを押さえていれば問題ありません。
トレンドラインは高値同士・安値同士を結んで引くものなので、レンジ相場で値動きが横ばいになっている状況だと、見た目としては水平線のレジスタンスラインやサポートラインに近くなります。逆に、レンジ相場であっても緩やかに上昇、下降していればトレンドラインを引くことが可能です。
大切なのはあまり神経質になり過ぎず、相場の上下幅を予測できるような補助線としてラインを引くことです。
ラインを引く時に目安とする高値同士・安値同士の価格が完全に一致することはほとんどないため、多少の価格差は許容範囲として、視覚的に同じ水準にあるラインを引きましょう。
トレンドラインから分析できること
トレンドラインを引けるようになれば、トレードに役立つ様々な情報が手に入ります。
将来の反発点を予測するだけではなく、下に挙げたように実践のトレードにおける相場の分析からエントリー、決済まで様々な場面で活用することができるようになります。トレンドラインがあるだけでも相場の状況を把握しやすくなるため、使い方についてそれぞれ詳しく見ていきましょう。
トレンドの方向性と強弱
トレンドラインを引くと、トレンドの方向性と強弱を視覚的に確認することが可能です。
チャートの推移に沿って引くことになるトレンドラインは、上昇トレンドなのか、下降トレンドなのかをひと目でわかるようにする効果を持ちます。仮に水平線になればトレンドが発生していないレンジ相場であることも把握できるので、相場の状況を素早く判断するために役立ちます。
さらに、ラインの傾き方や反発回数によってトレンドの強さが視覚化されることもトレンドラインの強みです。
上昇トレンドや下降トレンドの発生中は、トレンドラインの角度が急であるほどトレンドが強く、傾き方が緩やかならトレンドの力がそれほど強くないことを示します。加えて、トレンドラインに対する反発回数が多いほどになかなかブレイクされていない、強いトレンドだと捉えることもできます。
このように、トレンドラインを引いたら、まずはトレンドの向きや強弱をしっかりと見極めることを心がけましょう。
エントリーポイント・決済ポイント
トレンドラインは、トレードの際のエントリーポイントや決済ポイントとしても活用できます。
例えば、下のようにルールを定めてエントリーと決済を行うと決めておくと、短期間のトレンドの中でも複数回の利益を上げることが可能です。決済のタイミングについても、ラインブレイクが手仕舞いの目安となるため、エントリーから決済まで迷わず行うことができるでしょう。
- レジスタンスラインとして機能しているトレンドライン付近で売りエントリー
- サポートラインとして機能しているチャネルライン付近で決済
また、相場が下降トレンドにある時は流れに乗って売りでエントリーするのが原則ですが、レンジ相場に近い値動きだとトレンドラインとチャネルラインの間を行き来する性質を利用して、あえてチャネルラインで買いエントリーをするという選択肢も存在します。
相場ではっきりとした方向性が出るトレンド相場は3割ほどで、7割がレンジ相場だといわれています。上のようにトレンドラインを活用できれば、明確なトレンド相場でなくてもトレードができるようになるため、使い方を身につけておくことで貴重な選択肢となるでしょう。
こうした短いスパンでのエントリーと決済を行うやり方は、スキャルピングのような短期売買を繰り返すスタイルと好相性です。値動きが一定範囲内での推移を続けていれば、同様のトレードで細かく利益を積み重ねることも可能です。
トレンドライン「だけ」で勝つことは難しい
ここまでトレンドラインの引き方や、トレンドラインから読み取れることを解説してきましたが、トレンドラインだけを根拠に取引することは正直なところおすすめしません。
トレンドラインはサポートラインやレジスタンスラインとしての機能を有してはいるものの、あくまでもテクニカル分析の方法のひとつに過ぎないためです。水平線やフィボナッチ、移動平均線といったほかの分析方法と同様、単体で高勝率を出し続けることは困難です。
勝率を安定してアップさせるには、トレードの際の根拠を厚くする必要があります。
そのためには、自身に合ったテクニカル手法を複数組み合わせ、確度の高い分析を行うことが近道になります。
トレンドラインを使ったトレード手法
それでは、具体的にトレンドラインとほかのテクニカル指標とを併用したトレード手法を紹介していきます。
上に挙げた3種類の組み合わせは、テクニカル指標の中でもトレンドラインと相性が良く、FX初心者でも扱いやすいものを厳選しています。実際にチャートを見ながら、分析方法やエントリー・決済の参考にしてみてください。
サポートラインと移動平均線の組み合わせで押し目買い
トレンドラインを活用したトレード手法の1つ目は、移動平均線との組み合わせです。
移動平均線は多くのトレーダーが取り入れている最もメジャーなテクニカル指標のひとつですが、非常にシンプルでFX初心者でも使いやすいという特徴も持っています。移動平均線とトレンドラインの組み合わせは、見やすさやわかりやすさに優れていて、トレードを始めたばかりの方にもおすすめです。
例えば上図の例でいえば、3本の移動平均線を表示させているチャートにトレンドラインを引いています。
移動平均線が3本とも右肩上がりになっているので、これだけでも相場が上昇トレンド中であることがわかります。しかし、移動平均線は期間が短いほどブレイクされる確率が高くなるため、移動平均線だけで押し目買いのエントリーをするにはリスクが伴う場面です。
そこでトレンドラインも引いてみると、3本の移動平均線のうち、中期線とトレンドラインとが重なるポイントが見つかります。このように、2種類のラインが近くなる価格帯では値動きがサポートされる可能性が高く、押し目買いの有力なエントリ-ポイントと判断できます。
エントリーは、サポートラインとして機能しやすい中期線や長期線の付近でエントリーするのが望ましいといえます。移動平均線の表示は、デイトレードなら短期線5:中期線25:長期線75の期間設定が一般的で使いやすいでしょう。
レジスタンスラインとフィボナッチ・リトレースメントで戻り売り
トレンドラインを活用したトレード手法の2つ目は、フィボナッチ・リトレースメントとの組み合わせです。
フィボナッチ・リトレースメントは、トレンド発生後の押し目買いや、戻り売りの反発ポイントを予測するテクニカル指標です。トレンドで使用することを前提としているため、トレンドラインとは非常に相性がよく、組み合わせることでより精度の高い分析ができるようになります。
上の図は下降トレンドでの例で、まずはチャート上で高値同士を結び、レジスタンスラインとして機能するトレンドラインを引いています。次にフィボナッチ・リトレースメントを使い、高値と安値を結ぶことで、下降トレンドの中でどの価格帯で反発するかを予測します。
トレンドラインとフィボナッチ・リトレースメント、2つのラインが重なるポイントなら、トレンドの流れに逆らわず戻り売りでの利益を狙うことが可能です。
フィボナッチ・リトレースメントは、特に38.2%、50.0%、61.8%の反発可能性が高いとされています。これらのラインとトレンドラインが重なる位置にレートが近づいてきたら、エントリーのチャンスになります。
ラインブレイク狙いの時はダウ理論でトレンド成立を確認する
トレンドラインを活用したトレード手法の3つ目は、ダウ理論との組み合わせです。
ダウ理論ではトレンド継続について、「明確な相場転換のシグナルが出ない限り、トレンドは継続している」と定義されています。具体的には、上昇トレンドで高値の更新がなく安値を更新した時、もしくは下降トレンドで安値の更新がなく高値を更新した時がトレンド転換のシグナルであるということです。
トレンドラインはトレンドの継続状態を見る際に効果的ですが、トレンドの転換点までは掴みきれません。たとえトレンドラインをブレイクしても、下図のように持ち合いに入ってしまうケースもあるためです。
そこで、トレンドの転換を見極めるためには、トレンドラインのブレイクにダウ理論の考え方も取り入れてみましょう。
上昇トレンド中のトレンドラインがブレイクされた後、ダウ理論の考えをもとにチャートを見ていくと、高値の更新が止まり、安値が更新された時点で下降トレンドの開始です。このように判断すれば、ラインブレイクで焦ってエントリーすることが減り、トレンドの初動でポジションを持てる可能性も高くなります。
トレンドの転換期は、見極めを誤ると大きなダメージになってしまうこともあります。トレンドラインだけで判断せず、ダウ理論のような「相場の原則」と併せて考えることがステップアップへの道筋となるでしょう。
まとめ:トレンドラインだけではなく複数の分析方法を組み合わせる
今回はトレンドラインの引き方から、ほかのテクニカル分析と組み合わせたトレード手法まで紹介しました。
チャートにトレンドラインを引くだけでも、相場の方向性やトレンドの強さなど、トレードに欠かせない情報を視覚的に把握することができます。フィボナッチ・リトレースメント等のテクニカル指標と併用すれば、間違いなく勝率の底上げにもつながっていくでしょう。
ただし、トレンドラインはどんなに精密に引けたとしても、あくまでも相場の方向性を知るための目安でしかありません。トレンドラインだけでの運用は避け、多角的にチャートを分析した上で、確度の高い押し目買いや戻り売りのポイントを狙っていくことが大切です。
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