この記事では、これらの悩みを解決できます。
FXは環境認識でトレードの成否が9割決まる、といわれるほど環境認識が重要です。
インジケーターやサインツールを駆使すれば売買サインだけを見てエントリーすることも可能ではありますが、環境認識なしでは勝率は上がっていきません。勝率を7割、8割へと押し上げ、常に安定した利益を上げ続けるには、相場全体の流れを捉える環境認識が不可欠なのです。
環境認識だけではエントリーポイントの見極めはできませんが、売買サインだけでもリスクの高さや相場全体の状況を把握することは不可能です。つまり、環境認識を行わずにトレードをすることは、あえて不利な条件で勝負を挑むことに他ならないわけです。
そこで本記事では、環境認識の重要性や、環境認識の具体的なやり方を詳しく解説していきます。
- 環境認識をせずに行うトレードは「木を見て森を見ず」に等しい
- 環境認識ではトレンドをはじめとした相場状況の把握を行う
- 環境認識は日々のトレード前のルーティンにするのがベスト
FXにおける環境認識とは
FXにおける環境認識とは、現在の相場状況を把握することをいいます。具体的に見るべきポイントは以下の3つです。
FXの相場でトレーダーに与えられた選択肢は、突き詰めれば「買う・売る・待つ」の3つしかありません。
しかし、環境認識を正しく行えないと、本来であれば「待つ」べき相場がトレードチャンスに映り、勝率の低いポイントでエントリーをしてしまう恐れがあります。だからこそ、環境認識を行うことで相場全体の流れを見極め、「待つ」選択肢も手にしておくことが大切なのです。
トレード前の環境認識を自然とできるようになれば、トレンドの継続や転換、反発しやすい価格といった節目を把握した上で、相場状況に合わせたトレード戦略を取りやすくなります。そうなれば、相場の動きに惑わされることが減るので、勝率を大幅に高めることができるでしょう。
環境認識をしておくとエントリー前の選択肢を増やせるだけでなく、エントリー後にどこまで利益を伸ばすか、どこで損切りをするかという押し引きの判断をする時にも選択の幅が広がります。FXトレードにおいて、環境認識は「百利あって一害なし」です。
FXで環境認識がトレード成否を9割決めるといわれる理由
実際にFXでトレードに環境認識を取り入れてみると、リスクの高いエントリーポイントに手を出す頻度は大幅に減るはずです。
ではなぜ、環境認識を行うだけでトレードの成否を9割左右するほどの効果が得られるかというと、理由は以下の2つです。それぞれ詳しく深掘りして見ていきましょう。
環境認識をしていないとトレンド逆行のリスクが高まる
まず知っておきたいのは、環境認識を行わずにトレードを行うと以下のような危険性を伴うことです。
例えば、現在のチャートが1時間足で見ると下降トレンドになっているとしましょう。
しかし、日足は上昇トレンド中で1時間足は調整局面の真っ最中、というケースであれば、1時間足を参考に売りポジションを持ってもすぐに価格が上昇するリスクがあります。相場の値動きは大きな時間軸の流れに従いやすいため、上位足の方向感を無視したトレードは勝率が低く、おすすめできません。
トレンドフォローを心がけていたとしても、5分足や1時間足などひとつの時間足だけを見て判断していたのでは、実はトレンドに逆行していた、となってしまうことは珍しくないのです。MTF分析による複数時間軸での環境認識を行うことが、真のトレンドフォローへの近道です。
ただし、上位足と同じ方向にエントリーしたとしても、レジスタンスラインに阻まれて逆行する可能性も0ではありません。環境認識を行い、相場全体の状況や方向感を捉えるだけでなく、多くのトレーダーが意識するような相場の節目となる価格も把握しておくことが大切です。
環境認識をしていれば相場に合ったインジケーターを選びやすい
環境認識ができれば、現在の相場に適したインジケーターを選びやすくなることもトレードの成否に大きく影響する理由です。
相場の状況は一定しているわけではなく、トレンド相場のときもあればレンジ相場になっているときもあります。そして、FXで使われる各種インジケーターには、それぞれ相性の良い相場が存在し、相性が悪い相場で運用しても満足な結果は望めないのです。
例えば、FXで最もメジャーなテクニカル指標のひとつである移動平均線も、機能するのは基本的にトレンド相場に限定され、レンジ相場では同じような力は発揮できません。反対に、RSIはレンジ相場向けのインジケーターで、トレンド相場では機能しないということを知っておく必要があります。
どのインジケーターがどの相場に向いているのかは、どうしたらわかるんでしょうか?
インジケーターについては、トレンド系なら基本的にトレンド相場が適しています。ただ、オシレーター系はトレンド相場に使えるものもあるので、多少手間でもトレードの安定感を出すためには、ひとつずつインターネット等でチェックすることをおすすめします。
このように、チャート分析のためにインジケーターを使う際にはインジケーターごとの特性を踏まえ、適切な相場で運用することが勝率の高いトレード戦略を立てるためには大切になります。
しかし、環境認識を行わないとトレンド相場なのか、レンジ相場なのか判断できません。だからこそ、事前に環境認識を行って相場状況を確認し、トレンド相場であれば移動平均線をボリンジャーバンドを使用する、といったステップを踏むことが求められるわけです。
【知識編】FXで環境認識をするコツ
とはいえ、FXで勝てずに悩んでいるトレーダーの多くは、正しい環境認識ができていません。
反対に、精度の高い環境認識を行っていれば、多少エントリータイミングがずれていたとしても相場の流れに助けてもらえる場面も出てきます。トレードを常に有利に進めるためにも、FXで正しい環境認識をするために必要な基本的な知識から身につけていきましょう。
MTF(マルチタイムフレーム)分析を活用する
環境認識をする時の大前提は、単一の時間足ではなく、複数の時間足を見るMTF(マルチタイムフレーム)分析を行うことです。
環境認識が不十分だと相場全体の流れが掴めず、知らず知らずのうちに逆張りエントリーになっていたり、利益を伸ばすべきところで伸ばせなかったりと、利益率の悪いトレードになりがちです。こうした状況では、環境認識不足は真っ先にチェックすべき問題点といえます。
だからといって、せっかく環境認識に取り組もうとしても、ひとつの時間軸だけでは断片的な情報しか拾うことができません。トレード前にチャートを確認し、1時間足のみで下降トレンド中だ、と判断するのでは正しい環境認識とはいえないのです。
環境認識を正しく行うためには、長期足から短期足へと、順に相場を見ていくことを心がけましょう。複数の時間軸を広く分析することで、ひとつの時間軸だけでは気づけなかったエントリーポイントも見つけられるようになり、トレンドフォローの安定感あるトレードができるようになります。
十分な環境認識をせずに行うトレードは「木を見て森を見ず」に等しく、非常に危険です。MTF(マルチタイムフレーム)分析を行うことで「森」全体を見渡した上で「木」の状態を捉えられるようになるので、環境認識の精度は大きく向上するでしょう。
トレードスタイルによって見るべき時間足は異なる
環境認識を行う時にチェックする時間足は、トレードスタイルによって異なります。
下の表はあくまでも一例なので、確認する時間足は臨機応変に変更しても構いません。
トレードスタイル | 短期足 | 中期足 | 長期足 |
スキャルピング | 1分足・5分足 | 15分足・30分足 | 1時間足 |
デイトレード | 15分足・30分足・1時間足 | 1時間足・4時間足・日足 | 週足 |
スイングトレード | 4時間足・日足 | 週足 | 月足 |
短期足の枠には普段、自身がエントリーなどで使用している時間足を据えましょう。特に決まっていない場合は、自分がどの時間足をメインとしてエントリーや決済の判断を行うのか、前もって定めておくことで毎回同じ基準で環境認識を行えます。
ただし、MTF(マルチタイムフレーム)分析の実践のために、中期足と長期足のチェックは必ず行ってください。環境認識を行う時間軸を設定した上で、複数時間軸のチェックを徹底して売買の判断を行っていけば、相場の突発的な値動きに振り回されることはなくなるでしょう。
ちなみに、スキャルピングで日足までや、デイトレードで月足までといった、メインの時間軸から大きく離れた時間軸はチェックしない方がいいんでしょうか?
相場は大きな時間軸で発生している流れの方が強い力を持っているので、日足や月足をチェックすることは無駄ではありません。ですが、トレードする時間足とあまりに離れ過ぎていると、逆にエントリーポイント付近の機微を拾いきれなくなってしまうので、注意が必要です。
移動平均線などシンプルなインジケーターを使う
環境認識の精度をさらに上げていくためには、インジケーターに移動平均線などのシンプルなものを使うことも大切です。
インジケーターには、相場状況を把握するために役立つものが数多く存在します。ただ、中にはチャート上に表示するとローソク足が見づらくなってしまうものがあったり、トレーダー側でいくつものインジケーターを表示していて画面が埋め尽くされているケースもあります。
そのため、環境認識に不慣れなうちは表示、使い方ともにシンプルなインジケーターを使用しましょう。
一目均衡表など、複雑な見た目のインジケーターの方が高い効果が得られるのでは、と思う方もいるかもしれません。しかし、分析しきれない情報量がチャート上に表示されていても宝の持ち腐れです。まずは扱うべき情報量を絞り込み、環境認識の分析精度を上げていくことが大切です。
移動平均線のようなシンプルなインジケーターならトレンド方向や相場の過熱感も視覚的に判断しやすいので、的外れな分析をするリスクも減らせそうですね。
複雑なインジケーターは、相場状況が変わるたびに表示される内容も様変わりするので、使い慣れていないと現在の動向を把握するだけでもひと苦労です。環境認識に集中するためにも、インジケーターはシンプルなものを使いましょう。
ファンダメンタルズ要素もチェックしておく
ファンダメンタルズ要素もまた、精度の高い環境認識を行うためには欠かせません。
環境認識はテクニカル分析と思われがちですが、相場の動向には経済指標や金融政策、要人発言などのファンダメンタルズ要因も否応なく影響してきます。代表的なものでいうと、アメリカの雇用統計発表時には値動きが非常に激しくなり、テクニカル分析を無視した動きを見せることもあるほどです。
さらに、地震や戦争などの地政学的リスクは、突発的に発生し為替に多大な影響を及ぼすにも関わらず、事前にタイミングを知ることはできません。つまり、環境認識のスキルが熟達し、相場状況を正確に把握できるようになったとしても、突然の価格変動は避けられないのです。
経済指標発表などはあらかじめ日時をチェックして対策できますが、地震などの災害はいつ起こるかわからないから対策できませんよね・・・。だとしたら、環境認識も無駄になってしまうんじゃないでしょうか?
確かに、事前に対策しようがないこともファンダメンタルズ要素にはたくさんあります。ただ、それなら環境認識は不要か、というとそんなことはないんですよ。
最も望ましいのは、経済指標発表などの日時をチェックしてトレードを控えることです。ファンダメンタルズ要素の確認は、テクニカル分析が効きづらい相場を避けるというリスク回避が目的なので、仮に経済指標発表の結果が良好でも安易なエントリーは避けることが賢明といえます。
また、突発的に発生する地政学的リスクについては事前の備えができないため、環境認識を行った上でチャートが普段と異なる様相を見せているようなら手を出さないようにしましょう。
【実践編】FXで環境認識をする流れ
環境認識はをトレードに取り入れる際には、毎日の取引前にルーティン化するのがベストです。
相場状況は常に変化しているため、前回の環境認識から時間が経過していると、相場環境が大きく変わってしまっていることも珍しくありません。週の初めに環境認識をしたからといって、そのままの状態が続くと、相場全体の流れに逆らったトレードになる恐れがあるわけです。
そこで、毎日の環境認識をスムーズに進めるためにも、環境認識をする実践的な流れを3ステップにわけて具体的に解説していきます。
長期足でトレンドの方向性を確認する
まずはファーストステップとして、自分が普段トレードする時間足よりも上位の時間軸からトレンドの方向性を確認してください。
エントリーや決済を行う時間軸を基準として、それよりも大きな時間軸から長期足・中期足と順番に見ていきます。いつもデイトレードで15分足を使っているなら、週足から日足、4時間足と順にチャートを見ていくということです。
上位足は下位足が集合して形成されているので、言い方を変えれば上位足には下位足の情報が全て内包されています。そのため、長期足になるほどトレンドの信頼性が増し、短期足で一時的に発生しているトレンドも、次第に上位足の方向性と一致する可能性が高いのです。
先に上位足を見て相場全体の大きな流れを頭に入れておくことで、下位足で細かなトレード戦略を立てる際にも、自然と勝率の高い選択ができるようになるでしょう。
トレンドの方向性を確認する方法は様々ですが、「ダウ理論によるトレンドの判断」や「移動平均線の向き」、「トレンドライン」などで判断するのが代表的な方法です。上位足の相場状況を確認した結果、レンジ相場だったなら、基本的には方向感が出てトレンドが発生するまで待つのがベターです。
中期足でエントリーポイントになりそうな場所を探す
長期足でトレンドの方向性を確認した後は、中期足でエントリーポイントになりそうな場所を探します。
このステップでエントリーポイントを探す際には、自身の得意とするトレード手法を優先的に使用してください。
例として、水平線のサポートライン(支持線)やレジスタンスライン(抵抗線)を用いたトレード手法の場合の流れを解説しましょう。水平線を使う場合、サポートライン付近であれば上方向への反発が、レジスタンスライン付近であれば下方向への反発が可能性としては高くなります。
理想的なのは、上昇トレンド中にサポートラインへと近づいている時や、逆に下降トレンド中でレジスタンスラインの付近まで値動きが迫っている状況です。当てはまりそうなポイントが見つからない時は、素直にエントリーチャンスがないと判断してその日のトレードは控えておくのも良い判断です。
ただし、絶好のエントリーポイントを見つけたとしても、中期足ではチャンスになりそうな価格帯や、予測される値動きの確認のみに留めましょう。
エントリータイミングなど、細かな部分は短期足で調整した方がより精密なトレードができます。リスクリワードが良くなるので、長い目で見ても利益を伸ばせるようになるでしょう。
長期足・中期足のトレンド方向に沿って短期足でエントリーする
長期足・中期足でトレンドの方向性とエントリーポイントを特定したら、下位足で具体的なエントリータイミングを探ります。
基準足でインジケーターのサインやチャートパターンの形成、ラインブレイクなど、何らかの売買シグナルが発生した場合や、ローソク足のプライスアクションもタイミングを測るヒントになります。中期足で確認できたエントリーポイントに絞って見ていくことで、情報の取捨選択もやりやすくなるでしょう。
注意すべきは、機会損失を恐れて上位足と下位足のトレンドの方向性が一致する前に逆張りエントリーをしてしまうことです。
せっかく環境認識でトレードの勝率を底上げしても、長期足から組み立ててきた戦略をひっくり返したのでは、全て水の泡です。時には価格が急激に伸びるなどしてエントリータイミングを逃すこともありますが、上位足で分析した内容に沿ったトレードを続けることが結果につながることは間違いありません。
スキャルピングのように短期売買を行うトレードスタイルの場合、上位足のトレンドに逆行していても大きなトレードチャンスに出くわすこともあります。そういった場面では、利益を引っ張り過ぎず、小さな利益を重ねていくイメージでトレードすることでリスクを抑えられます。
まとめ:環境認識をしているかどうかで勝率は大きく変わる
今回は、FXで環境認識を行う重要性や、環境認識の具体的な方法を解説しました。
相場は「上がる」か「下がる」かの二択しかないので、何も考えずにトレードをすれば、理論的には予測が当たる確率は50%です。しかし、環境認識をすることでその確率を60%、70%と高めることができるため、環境認識がトレードの9割を決めるといっても過言ではありません。
環境認識をすると過程の中でリスクが省かれるため、トレード回数は減ることになりますが、勝率の高いエントリーポイントに絞ればトレード回数の減少はごく自然なことです。むしろ、今まで行っていた無駄なエントリーを減らせている証拠なので、トレード成績は自然と上向いていくでしょう。
環境認識はテクニカル分析で利益を上げるトレーダーであれば絶対にマスターしたい技術なので、この記事を何度も読み込んで、日々のトレードに環境認識を取り入れてみてください。
値動きに翻弄されることなく、相場の流れに沿った一貫性のあるトレードを続けていくためにも、環境認識は欠かせません。慣れないうちは、複数の時間足を分析することに難しさを感じることもあるかもしれませんが、何度も練習するうちに自然とできるようになるので心配はいりません。
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