この記事では、これらの悩みを解決できます。
EA(自動売買)を使用する場合、VPSの導入が必須とされます。
しかし、EAに馴染みがないと、なぜVPSが必要なのかよくわからない、という方も多いのではないでしょうか。また、VPSの契約は毎月の費用が発生することから、EAとは別にコストをかけるほどの必要性を感じない、という方もいるかもしれません。
そこで今回はFXにおけるVPSの必要性から、VPSの導入によって得られるメリットまで、詳しく解説していきます。
- EAを24時間稼働し続けるためにはVPSが欠かせない
- VPSの導入は余計なコスト削減やEAのトレードの安定性にも効果的
- VPSの契約を検討するなら「FX専用」の「有料VPS」がおすすめ
FXにおけるVPSとは
VPSは「Virtual Private Server」の略称で、日本語だと「仮想専用サーバー」です。
VPSはクラウド上にあるデスクトップパソコンのようなイメージで、業者からレンタルしたサーバーにリモートアクセスして使用します。VPSにアクセスすることで、契約者はインターネット上の仮想サーバーを自分専用のサーバーとして使うことが可能です。
一般的に、FX専用VPSであれば契約料は月額およそ2,000~7,000円ほどです。
仕組みとしては1台のホストコンピューターを複数人で共有することになりますが、リソースは契約者ごとに割り当てられているものを占有できます。そのため、共有Wi-Fiなどで起こりがちなほかのユーザーの使用によるサーバーの負荷に関係なく、一定の回線スピードで利用できるというメリットがあります。
FXトレードにVPSを取り入れる3つのメリット
VPSがEA(自動売買)の利用に必須といわれる理由は、EAの稼働方法にあります。
EA(自動売買)はあらかじめ組まれたプログラムが自動でトレードを行いますが、24時間稼働させるためには、EAを導入したパソコンを起動し続けておかなければいけません。しかし、パソコンを24時間、常に稼働させ続けることには様々なリスクが伴います。
そういったリスクを回避するために活躍するのがVPSなのです。しかも、VPSの導入によって得られるメリットはリスク管理のみに留まりません。VPSがトレードに与える利点について、詳しく見ていきましょう。
EA(自動売買)を常に稼働し続けられる
VPS導入のメリット1つ目は、EA(自動売買)を常に稼働し続けられることです。
むしろ、VPSを導入しなければEAは本来の力を発揮しきれない、といっても過言ではありません。
VPSなしでEAを24時間稼働させ続けるには、自宅のパソコンをつけっぱなしにしておかなければいけません。ただ、実際にはパソコンを24時間稼働させ続けることは困難でしょう。常にパソコンを起動したままにすることで電気代がかさむだけでなく、パソコンの故障リスクも上がってしまいます。
だからといってEAを稼働する時間を限定すれば、エントリーは行われたのに決済が実行されていない、あるいはその逆に、大きな利益幅を取れるチャンスだったのにエントリーできていなかった、といったケースも起こり得ます。
パソコンを24時間つけっぱなしにした時の電気代は、一般的にデスクトップパソコンで年間2,000円を超えてきます。モニターの明るさや冷却機能の低下などがあれば、さらに費用がかさんでくることも少なくありません。
しかしVPSを導入すれば、実際にEAを稼働させる場所は自宅のパソコンではなく、インターネット上にある仮想サーバーになります。VPSのホストコンピューターは個人が使用するものよりはるかに高性能なので、VPSを使っていれば自宅のパソコンに負荷をかけることなく、EAの24時間稼働が可能になります。
利益を取り逃さず、不要な損失を出さないために、VPSはEA運用において欠かせない存在なのです。
ちなみに、VPSを使っている時はEAの稼働や停止は自分でコントロールできるんでしょうか?
接続したパソコンからリモート操作できるので、稼働も停止も問題なく行えますよ。それに、外出先のスマホやタブレットからでも接続・操作ができるので、経済指標発表の前後に外出していても、インターネットにつながっていればスマホからEAの停止・再開が可能です。
予期せぬトラブルによる損失を防止できる
VPS導入のメリット2つ目は、予期せぬトラブルの発生による損失を防止できることです。
先ほども触れたように、パソコンを24時間、常に稼働させ続けることには様々なリスクが伴います。電気代によるランニングコストのほかにも、熱がこもることによる故障リスクの増加や、電源を落とせない関係上、熱暴走の原因となる埃などの掃除ができないことも、パソコンの寿命を縮める原因になります。
パソコンそのものが壊れてしまえば、費用は電気代の比になりません。それどころか、VPSの年間契約料よりも高額な出費になってしまうことも考えられるでしょう。
聞く前から危なそうな感じはしますけど、パソコンをつけたまま掃除はできないんでしょうか・・・?
パソコンの掃除をする時には、あらかじめ電源を切っておかないと感電やショートの原因になってしまうことがあるので、安全を確保する意味でも電源をオンにしたままは絶対に推奨できません。自宅のパソコンでVPSなしでEAを稼働するとしたら、掃除タイミングは相場が動いていない土日ですね。ただそれでも、平日ずっと起動し続けていたら確実に寿命は縮むと思います。
また、VPSは仮想サーバー上でEAを動かすので、トレーダー自身の環境にEAの稼働状況が左右されないこともメリットです。
自宅のパソコンでEAを動かしていると、パソコンの不具合やインターネット回線のトラブル、停電など予期せぬトラブルに見舞われることもあります。しかし、VPSは有人監視で徹底したサーバー管理が行われているほか、不測の事態への対処についてもVPS業者側で対応してくれます。
長期的な視点で見れば電気代の節約のほか、パソコンの修理代金や買い換えのコスト削減、トラブル対策までできるため、VPSは非常にコストパフォーマンスに優れた選択といえるでしょう。
万が一、EAを稼働している自身のパソコンが何らかのトラブルで使えなくなった間に大幅な価格変動が起これば、手に負えない損失を被る可能性も否定できません。そんなケースでも、VPSを導入していれば自身のパソコンが起動していない状態でEAを稼働し続けることが可能です。
ラグ(遅延)の発生を抑えトレードを有利に進められる
VPS導入のメリット3つ目は、ラグ(遅延)の発生を抑えられることです。
FXでは、約定力の高さがトレードにおいて非常に重要な意味を持ちます。なぜなら、ラグが頻繁に発生するような約定力の低い環境だと、スリッページの発生によって注文した価格通りのポジションではなく、不利なポジションを持たされてしまう可能性が高くなるためです。
こういったリスクを避けるために、約定力の高いFX業者を選ぶことが重要になるわけですが、ラグの発生はトレーダー側のトレード環境にも影響を受けます。契約しているインターネット回線の速度やスペックによっては、チャート表示や注文実行の際にラグが発生してしまう可能性も否めません。
しかし、VPSを使えばトレーダー側の要因によるラグの発生を防ぐことが可能です。
特にFX専用VPSは様々なトレードに対応できるよう、高性能なサーバーを用意しています。EAの運用のために使用する場合はもちろん、もし裁量トレードでVPSを使用することになっても、ラグに関しては自宅よりも優れた環境になることが期待できるでしょう。
自宅のパソコンでEAを稼働していると、スペックが圧迫されてネットサーフィンやゲームをしたい時に支障が出る可能性も考えられます。ですが、VPSは契約先のホストコンピューターを使用するので、そういった心配はありません。
取引サーバーとの物理的距離も縮められる可能性がある
VPSのサーバーに関するメリットには、取引サーバーとの物理的距離も含まれます。
海外FX業者を利用する場合、取引するサーバーが海外に置かれていることがほとんどです。例えば、日本人トレーダーの利用者が多いXMTradingは本拠地が地中海のキプロス島にあり、サーバーはイギリスのロンドンに設置されています。
日本とアメリカのニューヨークで通信を行った場合、遅延は200ミリ秒から300ミリ秒といわれているので、さらに距離があるロンドンでは遅延も大きくなっていると考えられます。しかし、海外にサーバーがあるVPSを利用すれば、こうした物理的な距離を縮めるためにも役立つでしょう。
ただ、僕自身のトレーダーとしての経験上、XMを利用していて取引の際に大幅な遅延が発生したことはありません。遅延が発生していたとしても、体感でわかるほどの差は生じないため、神経質になり過ぎる必要はないでしょう。VPSによる物理的距離の短縮は、あくまでも付加価値として考えてください。
FXトレードを目的としたVPS契約なら「FX専用VPS」一択
VPSの契約には、国内外の業者と契約するか、海外FX業者が提供しているVPSを利用するか、二通りの選択肢があります。
結論からいうと、トレード用にVPSを検討するならFX専用VPSを用意している業者を選びましょう。
もともと、VPSは開発環境やゲーム用のマルチサーバーとして人気を集めてきました。しかし、汎用性のあるVPSは設定の自由度が高く、OSの選択肢も柔軟な一方で、設定が煩雑になる点や価格が割高になりがちというマイナスポイントがあります。
反面、FX専用のVPSはWindowsOSのみに限定されるなどの制約はあるものの、汎用型に比べてハイスペックのサーバーを格安で利用できるため、コストパフォーマンスに優れています。また、Meta Traderが初期インストールされていることも多く、契約後すぐにEAの利用を開始できる点もメリットです。
FX専用VPSの契約、というと難しそうなイメージがあるんですが、FX初心者でも使いこなせるでしょうか?
FX専用VPSはトレード利用に特化したカスタマイズがあらかじめ行われているので、仮想サーバーについての知識はほとんど要求されません。マニュアル通りに設定を進めるだけで使うことができるため、FX初心者でも取っつきやすいサービスですよ。
無料VPSよりも有料VPSを選んだ方が安定感は高い
なお、先ほども少し触れたように、海外FX業者の中には一定条件を満たすことで無料VPSを提供している業者もあります。
FX業者が提供しているVPSなので、普段のトレードやEAの利用について、著しくスペックが足りないといった心配がない点は魅力といえます。ただし、VPSを無料で使うためには、下の表のように一定以上の口座残高や取引量が条件となっていることがほとんどです。
FX業者 | 無料VPS利用の条件 |
XMTrading | 口座残高5,000ドル以上月5ロット以上の取引 |
GEMFOREX | 口座残高50万円以上 |
Exness | 口座残高500ドル以上 |
FBS | 口座残高450ドル以上月3ロット以上の取引 |
仮にUSD/JPY(ドル円)で5ロットの取引を行うとしたら、1ロットなら5回、0.1ロットなら50回のトレードが必要です。1ロットのポジションを持つと10pipsの逆行でも1万円の含み損が発生するため、少額の資金でトレードするには高いリスクが伴います。
こうした条件の達成難易度を考慮すると、すでに条件を満たしている場合は別として、無理に無料VPS使う必要性は薄いでしょう。
3,000~4,000円ほど支払って、海外FX業者が提供するVPSを利用できる場合もありますが、それなら有料のFX専用VPSを探した方がハイスペックのVPSで契約できます。基本的に、有料のFX専用VPSが候補としては一番です。
コスパ重視なら国内業者の「お名前.com デスクトップクラウド」がおすすめ
コストパフォーマンスを重視するなら、国内業者が提供している「お名前.com デスクトップクラウド」がおすすめです。
後述するように、稼働するEAの数が1台など少ないのであれば、VPSは無理にハイスペックのプランを契約する必要はありません。
その点で、「お名前.com デスクトップクラウド」はEA1台の稼働に最適なスペックのメモリ1.5GB+SSD60GBの廉価プラン「短期お試しプラン」が用意されていて、初回月額1,240円から始めることが可能です。更新後も月額3,036円と、FX専用VPSの中では安価な部類に入ります。
加えて、24時間365日のサポート体制を整えていることや、VPSとリモート接続する際もワンクリックで簡単に行えるシステムが用意されている点も、VPS導入の初心者に配慮したサービス内容といえます。VPSを初めて導入するなら、「お名前.com デスクトップクラウド」を選べば間違いありません。
お名前.comのVPSには、汎用型の「お名前.comVPS」とFX専用の「お名前.com デスクトップクラウド」の2種類があるので注意が必要です。FXで利用する目的なら、必ず「お名前.com デスクトップクラウド」を選んでください。
FXトレードでVPSを使用する際の注意点
最後に、FXでVPSを導入する際の注意点についてまとめておきます。
VPSの契約中は月額料金が発生する
VPSを利用するには、契約料金として月額およそ2,000~5,000円ほどが一般的です。
スペックが高くなると、7,000円ほどの費用が発生する場合もあります。年間で計算すると最低でも20,000円以上はかかる上に、EAを使い続けるのであれば毎年継続的に発生する費用となるため、契約前に金額をよく確認しておきましょう。
ただし、すでに説明したようにVPSを使うかどうかでパソコンの故障など、追加コストが発生する可能性を防ぐことができます。EAの使用によって期待できる月々の利益も含め、損益のバランスを総合的に判断することが大切です。
稼働させるEAが多くなれば上位プランの契約が必要になるケースもありますが、まずは1つのEAで確実に稼働できているか確認してから上位プランや複数EAを検討しましょう。
日本語サポートの有無を確認する
海外のVPS業者と契約する場合は、日本語サポートの有無もチェックしておく必要があります。
海外FX業者は日本語サポートに対応しているところが多くなっていますが、海外のVPS業者は日本語未対応であることが珍しくありません。契約に関する内容も英語のメールで届くため、契約から設定まで英語で進める必要があり、英語に苦手意識がある場合のハードルとなる可能性があります。
現在はインターネット上で使える翻訳機能が進化しているので、説明文等が英語であっても、ある程度は対応できる環境が整っています。しかし、VPSの利用中にトラブルが発生した場合、カスタマーサポートとのやり取りを翻訳機能に任せるとなると心許なさが残るでしょう。
中には日本語サポートの窓口を用意している海外VPS業者もありますが、やはり国内業者と比べると安心感では劣ります。少しでも不安がある場合は、サポート体制が充実している国内業者を選ぶことをおすすめします。
必要以上のハイスペックを契約する必要はない
VPSの契約の際には、メモリとディスクのスペックを確認しておくことが大切です。
EAの稼働のために安定感が求められるVPSでは、スペック的に余裕を持って稼働できるかどうかが重要な判断材料となります。メモリとディスクの必要スペックについては、下記を参考にしてください。
メモリはパソコンの作業スペースにあたるもので、メモリ容量が大きくなるほど複数の作業を同時にこなせるようになります。稼働させるEAが1つだけであれば、メモリは2GBほどで問題ありません。稼働予定のEAが4つなどあるようなら、メモリ容量も4GB以上にするなど増やしていきましょう。
ディスクについては、容量はそれほど求められないので50GB程度で十分ですが、SSDの搭載が必須です。ディスクにはHDDとSSDの2種類があり、SSDはHDDの3~8倍以上の読み込み速度を誇るため、ラグの発生を防止するためにも必ずSSD搭載のディスクを選んでください。
なお、ここで取り上げているスペックはあくまでもVPSのものです。EAを動かすのはVPSであり、VPSに接続する端末はリモートでEA稼働・停止の操作をしたりするだけなので、ノートパソコンやスマホのスペックでも十分です。
まとめ:VPSの導入はEAの安定稼働以上に多くのメリットがある
VPSはEA(自動売買)を24時間稼働し、利益を最大化するために必要不可欠です。
それだけでなく、VPSの契約はパソコンの故障リスクやインターネットトラブルの回避、ラグの解消などにも役立ちます。導入と運用にあたっては毎月の費用も発生するものの、総合的に見ればVPSは費用に見合う以上のリターンを得ることができるでしょう。
仮想専用サーバーという聞き慣れない技術であることから、心理的なハードルも感じるかもしれませんが、初期設定さえ完了すれば運用そのものは非常に簡単です。EAの使用に興味があれば、ぜひVPSの導入も検討してみてください。
コメント