2024年5月3週GOLD(XAU/USD):ゴールド分析

チャート分析

2024年5月3週時点でのGOLD(XAU/USD):ゴールド分析です。

5月の3週に入り、GOLD(XAU/USD)は過去最高値(2,450.125)を記録しました。

過去最高値に至るまでのGOLDの動きを見ながら、ファンダメンタルズ要因の影響も含めて今後の値動きを考えていきましょう。

月足

まず、GOLDのチャートの大きな動きを知っておくために、月足で全体像を把握しておきましょう。

下のチャート画像はGOLDの月足で、2000年に入って以降、金相場は上昇し続けています。つまり、GOLDは長期的に見てずっと上昇トレンドにあるわけです。

GOLDの価格が上がり続けている理由としては、実物資産として破綻リスク=価格がマイナスになるリスクがないことが大きな理由です。「有事の金」ともいわれるように、金はその性質上、リスク回避のための投資先として選ばれやすいのです。

ただし、上昇トレンドが続いているといってもダブルトップの形成などで価格が下がったタイミングは過去にもあります。価格は常に上がり続けたり、下がり続けたりすることはなく、どこかで必ず調整局面が入るので、今回の上昇もどこかで必ず戻しが発生することには警戒しておきましょう。

こうした大きな流れを理解した上で、月足の直近の値動きも見ていきます。

ここ1、2ヶ月のローソク足では、長い上ヒゲが確認できます。これまで赤いラインの間でレンジ相場が形成され、長くくすぶっていた値動きが上抜けたことで、一気に次の価格帯へと進もうとしている一方で、売りの圧力も存在していることがうかがえます。

つまり、上昇の勢いに押されて一気に上抜けはしたものの、そのまま上昇し続けていくだけのエネルギーはない状態です。

週足

週足から、より詳細な値動きや反発が考えられる価格帯についてもチェックしていきましょう。

週足では、高値更新に対しての反動で上ヒゲをつけて陰線になっています。過去最高値を更新してもう一段上を目指したものの、最高値付近での売り注文が殺到している様子が見受けられるため、さらなる上昇への期待はいったん落ち着いている雰囲気があります。

しかも、プライスアクションは前日の高値を上回りながら前日安値を下回っているので、リバーサルハイ(弱気リバーサル:高値からの逆戻りサイン)です。加えて、このまま価格が落ちてくればダブルトップが形成される可能性もあり、短期的には下落への警戒が必要な場面といえるでしょう。

ここで、上昇に対する戻しがあると読んで、直近安値と高値を結んでフィボナッチ・リトレースメントも引いてみます。

するとこのように、事前に引いてあった各水平線と近い位置にフィボナッチラインも重なりました。

今のところ、23.6%ラインで反発していますが、フィボナッチ・リトレースメントにおいては38.2%と61.8%での反発確率が高いとされています。そのため、少なくとも38.2%ラインまでは調整による戻しが発生する可能性を考慮しておくべきです。

水平線やローソク足のヒゲの先端と重なっていることを考えると、50%ラインで半値戻しになる可能性も十分有り得ます。

一方、61.8%ラインの付近には過去に何度もレジスタンスラインとして機能した水平線が存在します。61.8%ラインを上抜けて上昇トレンドに移行したことから考えても、価格が下がってきた時に61.8%ラインがサポートラインとして機能する確率は高いでしょう。

サポートラインの検討をする時には、上のチャート画像だと50%ラインと61.8%ラインの間をゾーン的に捉えることも効果的です。想定したラインにタッチした瞬間に反発すればベストですが、トレーダーの数だけ分析方法があるので、ある程度は「幅」を持たせた方が機能しやすくなるのです。

日足

日足では、最高値を更新した後の急落が顕著に見て取れます。

週足で確認した時と同じく、ダブルトップを形成し始めている気配がある点も見逃せません。

また、直近のチャートではローソク足1本1本が比較的きれいな形になっていることも着目すべきポイントです。

上昇トレンドが始まり、先月高値を記録するまでは、ローソク足は直前のローソク足の高値を上回って終値が確定する、スラストアップ(上昇トレンドのサイン)によって勢いよく上昇を続けていました。しかし、先月高値をつけた後は枠内のように小刻みな動きになり、ヒゲも多く見られます。

ここでは、さらに高値を更新したい買い勢力と、急激な上昇に対する戻しを狙った売り勢力とが拮抗した状態になっています。言い方を変えれば、枠内で売りと買いとの押し合いが消化され、買いが勝ったことで再び高値更新を目指していく動きになったわけです。

ただし、過去最高値を更新してすぐに価格が落ちてきた点、そして大陰線が2本連続して出現したことから、二度目の上昇の勢いはそれほど強くはなかったと考えられます。枠内で押し勝って過去最高値の更新までは行ったものの、買いの力はここでいったん使い尽くしている可能性が高いでしょう。

4時間足、1時間足

最後に、4時間足と1時間足からトレード戦略とエントリーポイントになりそうな場所を検討してみます。

4時間足で見ると、下側の黄色ラインよりも上、かつ高値よりも下の間で価格が推移しています。この状況は週足や日足だとダブルトップの形成中に見えるので、下側の黄色ラインを抜けて価格が落ちていくことがダブルトップ完成の目安になるでしょう。

ダブルトップが完成した場合は、下側の黄色ラインがネックラインになります。今は下側の黄色ラインがサポートラインとして機能していますが、下抜けていけばレジスタンスラインへと転換し、価格の上昇を抑える役割を果たします。

より詳細な値動きを見るために、1時間足も確認しておきます。

1時間足では急激な下落が起きる予兆として、チャートパターンのひとつである三角持ち合いや、首吊り線(高値圏で出現した場合は下落の転換サイン)の出現が確認できます。

最高値の更新を狙うか、そろそろ売りに転じるかで相場が迷っていたところに首吊り線が出たことで、一気に方向性が定まり価格が急落しています。さらに、複数回のリバーサルハイや、直近の値動きがソーサートップ型になっていること、長い上ヒゲが出ていることも見逃せないポイントです。

売りを示すサインがいくつも出ていることや、直近のチャートで下降の勢いが強いことを踏まえると、今後のトレード戦略としては、上のチャート画像の黄色ラインあたりまで上がってきたところでの戻り売りが考えられるでしょう。

ただし注意点として、4時間足のチャートで見たネックラインになりそうな価格帯まで下降が続いていく可能性はあります。必ずしも調整のために価格が上昇するとは限らないため、下降の勢いを見ながらエントリーポイントを見定めることが大切です。

GOLD(XAU/USD)の最高値更新の材料として考えられること

GOLDが最高値を更新した理由としては、第一に中東情勢が挙げられます。

イスラエル・パレスチナの問題はもちろん、イランの大統領が乗ったヘリが墜落した事故が発生したことも、リスク回避の観点から金相場に影響を与えたと考えられます。現在、GOLDのチャートは最高値を更新して下降傾向ですが、何らかの事件発生時にはまた急激に上昇する可能性もあることを頭に入れておきましょう。

また、長期的な視点でGOLDへの投資を考える場合は、各ヘッジファンドが金相場の価格上昇を支えている点も留意しておく必要があります。加えて、中国やインド、中東などの国々が積極的に金への投資を行っている背景があるため、長期的に見ると金相場は今後も上昇可能性が高いといえます。

テクニカル分析がききやすいFXでも、GOLDはファンダメンタルズ要因に影響されやすい銘柄なので、特に地政学的なリスクは常に注視しておくことが大切です。

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