FXのグランビルの法則とは?移動平均線の設定やダウ理論との併用方法も解説

FXの基礎知識
  • グランビルの法則とは?
  • 移動平均線のおすすめの設定は?
  • どの時間足を使うのがおすすめ?
  • グランビルの法則の実践的な使い方を知りたい!

この記事では、これらの悩みを解決できます。


「グランビルの法則」は、移動平均線と価格との位置関係から売買ポイントを見つけるテクニカル分析です。

ただ、グランビルの法則の基本的な使い方を知っただけでは勝率の大幅な改善までは期待できません。グランビルの法則は単独で運用するのではなく、ほかのテクニカル指標を組み合わせることで真価を発揮する投資手法なのです。

そこで今回は、グランビルの法則による8種類の売買シグナルについてだけでなく、複数指標をもとに勝率を一気に上げる実践的な活用法まで紹介します。

この記事でわかること
  • グランビルの法則には8種類の売買シグナルがあり、法則同士を組み合わせて使うこともできる
  • 移動平均線の設定、時間足はトレードスタイルによって変えるのがおすすめ
  • ほかのテクニカル指標と併用するとエントリー根拠をより厚くできる

グランビルの法則とは

グランビルの法則とは、アメリカの証券アナリストである「ジョセフ・E・グランビル」が提唱した分析方法です。

グランビルの法則では、移動平均線の傾きや価格との位置関係から相場状況を分析することで見つかる売買シグナルを、8種類に分類しています。この8種類の売買シグナルは他の法則と組み合わせて使うこともできるため、理解を深めれば深めるほどにトレード戦略の幅が広がります。

グランビルの法則はFXだけでなく、株式市場や先物市場などのあらゆる相場で有効に使うことができ、どの通貨ペアでも活躍するので、必ず身につけておきたい投資手法です。

グランビルの法則の8つの売買シグナル

グランビルの法則では、8つの売買シグナルが分析の軸になります。

売買シグナルは移動平均線の向きと価格との位置関係から相場状況を分析することで見つけることができ、具体的には以下の8種類です。

シグナル条件
①「買い」シグナル移動平均線の向きが下向きから横向きもしくは上向きになったとき価格が下から上へ抜けた場合
②「押し目買い」シグナル価格が上向きの移動平均線の上にある状態から下に抜けた場合
③「買い増し」シグナル上向きの移動平均線に価格が近づいた後、再び上昇した場合
④「乖離買い」シグナル下向きの移動平均線を価格が大きく下に抜けた場合
⑤「売り」シグナル移動平均線の向きが上向きから横向きもしくは下向きになったとき価格が上から下へ抜けた場合
⑥「戻り売り」シグナル価格が下向きの移動平均線の下にある状態から上に抜けた場合
⑦「売り増し」シグナル下向きの移動平均線に価格が近づいた後、再び下落した場合
⑧「乖離売り」シグナル上向きの移動平均線を価格が大きく上に抜けた場合

次のステップである複数のシグナルの組み合わせに進むためにも、順番に深掘りしていきましょう。

1:「買い」シグナル

グランビルの法則の1つ目のシグナルは、以下の条件を満たした場合に適用されます。

  • 移動平均線の向きが下向きから横向きもしくは上向きになった
  • 価格が下から上へ抜けた

これは言い方を変えれば、下降トレンドが終わりに近づき、上昇トレンドへの転換を期待できる状況です。

ただし移動平均線が下向きである場合、価格が下から上へ抜けたとしても買いシグナルにはならない点には注意してください。見落としがちなポイントなので、移動平均線が上を向いている状態であることをしっかり確認するのがポイントです。

2:「押し目買い」シグナル

2つ目の法則は「押し目買い」のシグナルであり、以下の条件を満たした場合に適用されます。

  • 移動平均線が上向き
  • 価格が移動平均線の上にある状態から下へ抜けた

この局面は、上昇トレンド中の一時的な調整を狙った買いポイントとなります。

移動平均線が横ばい、もしくは下向きの状態では買いシグナルにならないため、移動平均線を下に抜けたからといって、当てずっぽうで買いを入れないように気をつけましょう。

また、「押し目買い」シグナルは具体的なエントリーポイントが決まっていないため、他のテクニカル指標と組み合わせて使う必要があります。

3:「買い増し」シグナル

3つ目の法則は「買い増し」シグナルであり、以下の条件を満たした場合に適用されます。

  • 移動平均線が上向き
  • 価格が下落した後、再び上昇した場合

この法則は、移動平均線が持つレジスタンスやサポートの役割を利用した売買戦略です。

ただし、移動平均線に近づいたからとすぐにエントリーするとダマシに遭う可能性があります。ダマシを回避するためにも、確実に反発を確認してからエントリーするようにしましょう。

また2つ目の法則と同様、移動平均線が横ばいもしくは下向きの状態では買いシグナルにならない点に注意してください。

4:「乖離買い」シグナル

4つ目の法則は「乖離(かいり)買い」シグナルであり、以下の条件を満たした場合に適用されます。

  • 移動平均線が下向き
  • 価格が移動平均線を大きく下に抜けた
  • 価格と移動平均線が大きく離れている

乖離買いは、移動平均線から離れた価格が、もう一度移動平均線に近づこうとするクセを活用した手法です。

この手法はトレンドとは反対方向にエントリーをする逆張りになるため、基本的にはおすすめしません。しかし、知識として持っておくことで値動きの予測に役立つので、チャートを見る時には移動平均線と価格の距離感を意識しておきましょう。

5:「売り」シグナル

5つ目の法則は「売り」シグナルであり、以下の条件を満たした場合に適用されます。

  • 移動平均線の向きが上向きから横向きもしくは下向きになった
  • 価格が上から下へ抜けた

売りシグナルは、1つ目の法則の逆バージョンです。上降トレンドが終わりに近づき、下降トレンドへの転換を期待できる状況で発生します。

移動平均線が上向きである場合、価格が上から下へ抜けたとしても売りシグナルにはならない点に注意してください。買いシグナルの場合は移動平均線が下向きから上向きへ、売りシグナルの場合は上向きから下向きへの変化がシグナル発生のサインです。

売りシグナルでエントリーする際には、移動平均線が下を向いている状態であることをしっかり確認するのがポイントです。

6:「戻り売り」シグナル

6つ目の法則は「戻り売り」のシグナルであり、以下の条件を満たした場合に適用されます。

  • 移動平均線が下向き
  • 価格が移動平均線の下にある状態から上へ抜けた

戻り売りシグナルは、下降トレンド中の一時的な調整を狙った売りポイントとなります。

ただし、価格と移動平均線との位置関係だけではエントリー根拠としては十分ではありません。具体的なエントリーポイントは戻り売りシグナルだけでは判断できないため、必ずほかのテクニカル指標と組み合わせて使うことが大切です。

また、移動平均線が横ばい、もしくは上向きの状態では売りシグナルにならないため、移動平均線の向きに注意を払っておきましょう。

7:「売り増し」シグナル

7つ目の法則は「売り増し」シグナルであり、以下の条件を満たした場合に適用されます。

  • 移動平均線が下向き
  • 価格が上昇した後、再び下落した場合

売り増しシグナルは、3つ目の法則である買い増しシグナルと同様、移動平均線が持つレジスタンスやサポートの役割を利用した売買戦略です。

レジスタンス・サポートの機能は基本的に水平線と同じ考え方なので、時には買いの勢いが強く、反発せずに突き抜けるケースも有り得ます。売り増しシグナルが出そうな時には、移動平均線で反発したことを確認してからエントリーするようにしましょう。

また、移動平均線が下向きであることが前提のシグナルなので、移動平均線が横ばい、もしくは上向きの場合は売りシグナルにはなりません。

8:「乖離売り」シグナル

8つ目の法則は「乖離(かいり)売り」シグナルであり、以下の条件を満たした場合に適用されます。

  • 移動平均線が上向き
  • 価格が移動平均線を大きく上に抜けた
  • 価格と移動平均線が大きく離れている

4つ目の法則である乖離買いシグナルと同様、価格が移動平均線から離れた時に、再び移動平均線に近づこうとするクセを活用した手法です。

ただし、乖離売りシグナルの場合もトレンドとは反対方向にエントリーをする逆張りになるため、FX初心者にはおすすめできません。乖離売りシグナルでのエントリーを積極的に狙うというよりも、値動きの法則性として覚えておくことで、トレードの判断材料を増やすことができるでしょう。

グランビルの法則の売買サイン

ここまでグランビルの法則の8種類の売買シグナルを紹介してきましたが、トレードで活用するにあたっては注意しなければならない点があります。

グランビルの法則の売買シグナルは、エントリーポイントまで具体的に決まっているものもあれば不明確なものもあり、サインが出たからといって全てに飛び乗っても良い結果は得られません。

そのため、実際のトレードで効果的に運用するには複数の時間足を分析するMTF分析を取り入れたり、グランビルの法則の別のシグナル同士を組み合わせて考える必要があります。加えて、ほかのテクニカル指標も併用することがエントリーポイントを明確にする鍵になります。

グランビルの法則の売買シグナルが出たからと感覚でエントリーするのではなく、客観的な根拠を重ねてからポジションを取ることを意識しましょう。

グランビルの法則でおすすめの時間足・移動平均線の設定

グランビルの法則で使う時間足や移動平均線(MA)の設定は、実は決められた数値があるわけではありません。

時間足や移動平均線が特定の設定でしか機能しない、ということはないため、個々のトレーダーの取引スタイルに応じて適切な数値を選択しましょう。

  • スキャルピング:20MA
  • デイトレード:75~100MA
  • スイングトレード:200MA

なお、もし移動平均線や時間足の設定で迷うことがあれば、時間足を日足に、移動平均線の期間を「200」に設定することをおすすめします。

グランビルの法則を考案した「ジョセフ・E・グランビル」は、上記の設定を利用していたことで知られています。そのため、グランビルの法則を使っているトレーダーには考案者と同じく日足+200MAの利用者が多いのです。

移動平均線をはじめ、FXのインジケーターは多くのトレーダーが使用しているものほど意識されやすいので、日足+200MAはグランビルの法則の基本を確認する上で最適な組み合わせといえます。

スキャルピング:5分足+20MA

数秒から数分の間で何度も取引を繰り返すスキャルピングであれば、5分足+20MAをおすすめします。

スキャルピングの性質上、超短期間で数pipsの利益を狙うことから、大きな時間軸を見てトレードするよりも小さな時間軸で値動きの機微を読み取るべきといえます。そのため5分足や、場合によっては1分足なども活用しつつ、20MAに沿って細かく利益を重ねていきましょう。

デイトレード:1時間足+75MA

数時間から1日の間で完結するデイトレードでは、1時間足と75MAをおすすめします。

デイトレードでは1回の取引で20~100pipsほどまで狙うことがあるため、それなりの値幅を把握できる時間足でないと全体像が見えません。一方で、時間軸が大きすぎるとたとえ値動きを予測できても、1日ではトレードが完結しなくなってしまいます。

デイトレードをするなら、1時間足と75MAとの組み合わせが好相性といえます。

また、1時間足とあわせて4時間足を使うのも効果的です。4時間足は1日の中で利益を最大化しやすいため、大きな値幅を狙いたい時には4時間足と100MAもセットで確認するなど、相場状況に合わせてチェックをしておきましょう。

スイングトレード:日足+200MA

数日から数週間かけて大きな利益を狙うスイングトレードは、日足と200MAをおすすめします。

スイングトレードでは数日から数週間かけ、1回の取引で100pips以上の利幅を狙うこともあります。そのため、5分足や1時間足など、短期・中期の時間足では取引期間中に動くであろう値幅を捉えきれず、十分な分析ができません。

最低でも日足以上を使い、移動平均線の期間についても長めに200に設定しましょう。

日足と200MAは考案者自身が使っていたこともあり、グランビルの法則を使っているトレーダーにも利用者が多くいるオーソドックスな組み合わせです。まだトレードスタイルが定まっていない方は、日足から試してみるのも手です。

グランビルの法則を使った具体的なトレード手法

ここまで、グランビルの法則の使い方や8種類の売買ポイントについて解説してきました。

基本を押さえた上で知っておきたいのは、グランビルの法則は単体での分析も可能ですが、ほかのテクニカル指標と組み合わせることで高勝率を期待できるということです。例えば、ダウ理論でのトレンド把握や、フィボナッチリトレースを使った反発ポイントの予測でさらに精度を高められるでしょう。

そこで、ここからはグランビルの法則を使ったエントリーの根拠をより厚くするための具体的なトレード手法についてお伝えします。

ダウ理論でトレンドを把握しグランビルの法則でエントリー

まずは、トレードの基礎ともいえるダウ理論を併用した手法をご紹介します。

ダウ理論では、高値と安値が切り上げれば上昇トレンド、高値と安値が切り下がれば下降トレンドと判断します。そこで、ダウ理論を使ってトレンドを把握しつつ、グランビルの法則でエントリーポイントを見つけていきます。

例えば、グランビルの法則の「買い」シグナルを活用すれば、ダウ理論で上昇トレンド中であることを確認した後、上向きになった移動平均線を価格が下から上に抜けたタイミングでエントリーするといった戦略を立てられるでしょう。

このように、ダウ理論とグランビルの法則の両方で買いの条件を満たしているタイミングであれば、下落するリスクを抑えつつトレードすることが可能です。

フィボナッチ・リトレースメントを併用して複数根拠でエントリー

先ほど、ダウ理論でトレンドを把握してグランビルの法則でエントリーする方法をご紹介しました。

この手法にフィボナッチリトレースによる投資判断を加えれば、さらに勝率の高い売買ポイントを見つけることができるのでぜひ試してみてください。

フィボナッチリトレースとは、黄金比を利用してトレンド相場での反発ポイントを探し出すのに役立つテクニカル指標の1つです。38.2%や50%、61.8%の戻りを狙った使い方が代表的で、これらの3種類のラインは反発可能性が高いことで知られています。

具体的な使い方として、まずダウ理論で上昇トレンド中であることを確認した後、グランビルの法則の2つ目である「押し目買いシグナル」を待ちます。その後、フィボナッチリトレースを使って38.2%や61.8%などの数値と重なる場合にエントリーするといった流れです。

このように、様々なテクニカル指標を組み合わせて複数の根拠がある状態でエントリーするよう心がけることで、勝率を飛躍的に高めることができるでしょう。

まとめ:グランビルの法則はトレードの基礎固めに最適

今回は、グランビルの法則でわかる8種類の売買シグナルと、他のテクニカル指標を組み合わせた具体的なトレード手法を解説しました。

グランビルの法則に則ってエントリーするだけでもある程度の効果は見込めますが、この法則だけで勝率を安定化させることは容易ではありません。しかし、記事内で紹介したようなダウ理論やフィボナッチリトレースといった、他の分析方法を併用すれば、より精度の高い売買ポイントを見つけることができます

今回紹介した具体的なトレード手法はあくまで一例に過ぎないため、様々なパターンを試しながら、自分のトレードスタイルに合った最適な組み合わせを見つけてみてください。

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