移動平均線の最強設定は?トレードスタイルごとのおすすめ設定を紹介

チャート分析
  • 移動平均線とは?
  • 移動平均線の最強の期間設定は?
  • 移動平均線の実践的な使い方が知りたい!

この記事では、これらの悩みを解決できます。


FXのトレードにおいて、インジケーターは欠かせない存在です。

そして、インジケーターの中でも特に使用者が多いのが移動平均線です。移動平均線は最もメジャーといっても過言ではないインジケーターで、FX初心者からベテラントレーダーまで、幅広い層に愛用されています。

そこでこの記事では、移動平均線についてFX初心者の方にもわかりやすく、詳細に解説していきます。最後まで読んでいただくことで、この記事だけで移動平均線に関する必要不可欠な知識がマスターできるでしょう。

この記事でわかること
  • 移動平均線には「最強」の設定は存在せず、多くのトレーダーが使っている設定ほど信頼性が高い
  • 移動平均線を設定する際にはトレードスタイルごとに期間を調整するのがおすすめ
  • 移動平均線を設定したらゴールデンクロス等を意識してトレードする

移動平均線とは

移動平均線は、MT4などでは英語表記の「Moving Average(MA)」と表されます。

シンプルで使いやすく、応用もしやすいことから、国内外を問わず非常に多くのトレーダーから愛用されています。

移動平均線は、一定期間の終値の平均をチャート上に描画し、それらを曲線でつないだラインです。期間200の移動平均線であれば、過去200期間分のローソク足の終値を平均し、結んだ線がチャート上に表示されるため、「200MA(200日移動平均線)」と呼ばれます。

ちなみに、ここで示した計算式は「単純移動平均線(SMA)」によるものです。他の種類の移動平均線の場合には異なる計算式を使用するので、チャートに表示されるラインも微妙に異なってきます。

具体例として、日足チャートに5MAが表示される仕組みを見てみましょう。5日間の相場の終値は、下記の通りとします。

  • 1日目→146円
  • 2日目→147円
  • 3日目→148円
  • 4日目→149円
  • 5日目→150円

相場の終値の平均値を算出すると、146+147+148+149+150÷5=148となり、148円が移動平均線の数値に反映されます。もし6日目の終値が151円だったなら、2日目から6日目までの平均値である149円が反映される、という仕組みです。

5MAはこのように、直近5日間の数値をスライドさせながら平均値を描画し、それぞれを曲線で結んでいます。200MAであれば直近200日間の平均を表し、期間設定を変更することで長期的な値動きから短期的な値動きまで、幅広くチェックすることが可能です。

「200日移動平均線」の場合は、「日足チャートに200日分の終値の平均を描画したライン」という認識でいいんでしょうか?

必ずしも「日足」である必要はありません。5分足チャートに「21日移動平均線」を表示するなら、「5分足21本分の期間の終値の平均を描画したライン」を意味します。この場合は、「◯日移動平均線」というより、「◯MA」と表現した方がわかりやすいですね。

SMA(単純移動平均線)とEMA(指数平滑移動平均線)

なお、移動平均線には平均化の方法に応じていくつかの種類が存在します。

ここでは以下の4種類のうち、代表的な「単純移動平均線(SMA)」と「指数平滑移動平均線(EMA)」について、詳しく見ていきましょう。

  • 単純移動平均線(SMA)
  • 指数平滑移動平均線(EMA)
  • 平滑移動平均線(SMMA)
  • 加重移動平均線(WMA)

移動平均線は、「単純移動平均線(SMA)」か「指数平滑移動平均線(EMA)」の利用者が多いので、基本的にはSMAかEMAの使用をおすすめします。

単純移動平均線(SMA)

移動平均線の中でも、最も基本といえるのが「単純移動平均線(SMA)」です。

単純移動平均線を英語で表記すると「Simple Moving Average」となり、一定期間の終値をそのまま平均化した移動平均線のことを指します。シンプルで扱いやすく、利用者が最も多い移動平均線でもあるので、FX初心者にもおすすめのインジケーターです。

ただしSMAはその名の通り、計算式は非常にシンプルです。そのため、値動きを敏感に捉える用途にはあまり向いていません。トレンド転換の初動を抑えたい場合などは、より値動きに反応しやすい「指数平滑移動平均線(EMA)」が適しています。

指数平滑移動平均線(EMA)

SMAに対して、直近の値動きに比重を置いたものが「指数平滑移動平均線(EMA)」です。

指数平滑移動平均線は英語だと「Exponential Moving Average」で、計算の際に当日のレートを2倍して平均値を算出します。こうした変更により、相場の値動きに対してSMAよりも素早く反応するようになっているので、トレンド転換を察知したい場合などに役立ちます。

反面、ダマシに遭いやすいというデメリットもあるため、ほかのテクニカル指標を組み合わせるなどして、ダマシを回避する工夫が必要です。

「ダマシ」とは

水平線をブレイクしたあとそのまま価格が伸びず、もう一度水平線まで価格が戻ってくる現象のことを「ダマシ」といいます。ダブルトップ・ダブルボトムのネックラインに関しても、ダマシが発生することがあります。

SMA(単純移動平均線)とEMA(指数平滑移動平均線)の使い分け方

SMA(単純移動平均線)とEMA(指数平滑移動平均線)の概要を押さえたところで、それぞれどのような場面に適しているか、チャート画面を見ながら確認しておきましょう。

EMAとSMAの主な違いは、先ほども解説したように重みを置くデータの有無です。

SMAが指定した期間のデータを均等に扱うのに対して、EMAは直近のデータの比重を高くしています。この差によって、EMAは価格変動に対してSMAより敏感に反応し、トレンドの変化を素早く捉えるという性質を持っています。

上のチャート画像は、同一期間のSMAとEMAを表示したものです。EMA(赤系色)はSMA(青系色)よりも価格の動きに対して素早く反応し、ゴールデンクロスに関してもEMAの方がSMAより先に発生していることがわかります。

EMAを使用するメリットは、チャート画像でも示されているように相場のトレンド転換を早期に察知できる点にあります。一方で、SMAはトレンドの変化を捉えるまでに時間がかかるものの、価格の方向性がしっかり出てから、より堅実なエントリーをすることが可能です。

移動平均線にもSMAとEMAでこうした傾向の違いがあるように、インジケーターの中には値動きに対して素早く反応するもの、あえて鈍く反応するものなど、様々な種類があります。自身が主に使用しているインジケーターの特性、欠点を補えるようにSMAやEMAを組み合わせましょう。

SMAとEMAのどちらの方が優れている、ということではなく、自分のトレード環境に合ったものを選ぶことが大切なんですね。

その通りです。どの時間足で勝負するのかといったトレード戦略や、取引する通貨ペアによっても相性は変わってくるので、一度SMAとEMAをどちらも表示してみて、反応の良さやインジケーター同士の兼ね合いから判断してください。

移動平均線を使うメリット

移動平均線を使うメリットは下に挙げた2つで、総合的にいうなら相場の動向を把握しやすくなることにあります。

  • トレンドを視覚的に把握できる
    • 移動平均線がローソク足よりも上側、かつ右肩上がり:上昇トレンド
    • 移動平均線がローソク足よりも下側、かつ右肩下がり:下降トレンド
  • エントリー・決済タイミングを判断できる
    • 移動平均線同士が交差したタイミングでエントリー・決済
    • 移動平均線がローソク足にタッチしたタイミングでエントリー・決済

移動平均線は、ラインの傾き方を見ることで現在のトレンドを把握することが可能です。移動平均線がローソク足よりも上に表示されていて、かつ右肩上がりになっているようなら上昇トレンド、ローソク足よりも下を推移していて右肩下がりなら下降トレンドです。

さらに、移動平均線はチャートに2本以上表示した際の交差によって、エントリータイミングを測ることもできます。移動平均線同士の交差は後述する「ゴールデンクロス」や「デッドクロス」と呼ばれるもので、買いや売りのシグナルです。

また、シグナルとしては移動平均線とローソク足のタッチもエントリー・決済判断に使えます。

移動平均線は、ローソク足に対してレジスタンスライン・サポートラインとしても機能します。そのため、上のチャート画像のように、上昇トレンドの発生中は移動平均線がサポートラインとなり、価格を支える場面がしばしば見られるのです。

こうした性質を利用して、押し目で買いエントリーを入れたり、逆に移動平均線を下抜けた時点でトレンドが終わったと判断して決済することも、現実的なトレード戦略として成り立ちます。非常にシンプルなテクニカル指標ながら、これだけの応用が効くこともまた、移動平均線の大きなメリットといえるでしょう。

移動平均線はFX初心者にもおすすめできるシンプルなインジケーターでありながら、上級者向けのインジケーターにも劣らないポテンシャルを持っています。どのインジケーターから使えば良いか迷うようなら、まずは移動平均線から試してみて損はありません。

移動平均線でチェックしておきたいシグナル

続いて、移動平均線を使う際に必ず覚えておきたいシグナルも押さえておきましょう。

シグナル発生条件トレンド転換戦略的意味
ゴールデンクロス短期線が中長期線を下から上へ抜ける上昇上昇トレンドへの転換サインであり、買いシグナル。長期線がはっきりと上向いていれば、上昇トレンドの確実性がより高まる。
デッドクロス短期線が中長期線を上から下へ抜ける下降下降トレンドへの転換サインであり、売りシグナル。長期線がはっきりと下向いていれば、下降トレンドの確実性がより高まる。
パーフェクトオーダー3本の移動平均線が短期、中期、長期の順に同じ方向へ並ぶ強い上昇・下降トレンドを示す強力なトレンドの発生を示す。トレンドに沿った順張りポジションを取ると高勝率の勝負ができる。

すでに説明したように、移動平均線はチャート上に複数本表示させることでより多くの情報を読み取れるようになります。特にゴールデンクロス、デッドクロス、パーフェクトオーダーはFX初心者でも判別しやすく、トレードにも活用しやすいシグナルなので、覚えて損はありません。

ゴールデンクロス:上昇トレンドへの転換

ゴールデンクロスの発生は、相場の上昇トレンドへの転換を示唆します。

発生タイミングは短期線が中長期線を下から上へと突き抜けた時で、クロスしたタイミングで買いエントリーをするシグナルとしても活用できます。

ただし、短期線が長中期線を突き抜けたように見えても、直後に価格が逆行するダマシに遭うこともあるため注意が必要です。ダマシを回避するには、価格が一度上昇した後に戻ってくるタイミングで押し目買いを狙うトレード戦略が効果的でしょう。

ゴールデンクロスは単体で使用するのではなく、水平線などほかのテクニカル指標と組み合わせることで、より確度の高いエントリーポイントを特定することが可能です。複数のテクニカル指標を参照し、根拠を厚くした上でトレードに臨みましょう。

デッドクロス:下降トレンドへの転換

デッドクロスの発生は、相場の下降トレンドへの転換を示唆します。

発生タイミングは短期線が中長期線を上から下へと突き抜けた時で、クロスしたタイミングは売りエントリーのシグナルとしても参考にできます。

ただしゴールデンクロスと同じく、デッドクロスでもダマシが発生する可能性は否定できません。ダマシ対策としては、水平線をはじめとしたほかのテクニカル指標と組み合わせてシグナルの信頼度を確かめたり、下落した価格が調整局面で戻ってくるタイミングでの戻り売りを狙うなどの戦略が有効です。

ゴールデンクロスやデッドクロス、そして後述するパーフェクトオーダーの発生定義である「短期線」「中長期線」は、特定の期間設定が決められているわけではありません。5MAと21MAなら5MAが短期線、50MAと100MAなら50MAが短期線になるので、表示している移動平均線の期間設定に応じて柔軟に考えましょう。

パーフェクトオーダー:大きなトレンドの到来

パーフェクトオーダーは、特定の方向へ強いトレンドが発生していることを示します。

パーフェクトオーダーが発生する条件は、短期線・中期線・長期線3本の移動平均線が全て同じ方向へと傾いている場合です。全ての移動平均線が右肩上がりになっているなら上昇トレンド、右肩下がりになっているなら下降トレンドを意味します。

  • 短期線、中期線、長期線が全て右肩上がり:強い上昇トレンド
  • 短期線、中期線、長期線が全て右肩下がり:強い下降トレンド

パーフェクトオーダーは短期線が中期線を突き抜けるまで続き、パーフェクトオーダーが現れると長期間続く大規模なトレンドとなることも少なくありません。そのため、トレンドに沿った順張りでまとまった値幅を獲得する大きなチャンスとなります。

パーフェクトオーダーはゴールデンクロスやデッドクロスに伴って出現することも多いので、トレードプランとしては下記のような流れで進めることができます。

  1. 短期線が長期線を上抜け、ゴールデンクロスが発生
  2. ゴールデンクロスの発生後、上昇した価格が戻ってくるまで待つ
  3. 短期線、中期線、長期線の向きを確認し、パーフェクトオーダーなら買いエントリー

上の手順とチャート画像は上昇トレンド時のものですが、下降トレンドでも同様の考え方でエントリーまで行うことが可能です。決済の目安も短期線が中期線を突き抜け、パーフェクトオーダー終了時と考えておけば判断しやすいため、FX初心者にも実践しやすいトレード戦略といえるでしょう。

移動平均線の「最強」は利用者の多い期間設定

これまでにも説明してきた通り、移動平均線はトレンド把握からエントリーポイントの見極め、決済判断までできる非常に優れたインジケーターです。

しかし、移動平均線のポテンシャルを最大限に引き出すには、最適な期間設定を見つけなければいけません。そのため、僕もFXを教えてきた人たちから、「移動平均線の『最強』の設定は何ですか?」と聞かれることが何度もありました。

では「最強」の期間設定とは何かというと、答えは「利用者の多い期間設定」となります。

多くのトレーダーが同じ期間設定をしているなら分析結果も自然と似た傾向になり、表示された移動平均線が示すシグナルに沿って、同じタイミングでエントリーや損切りが行われます。相場はトレーダーの売買によって形成されるため、同じ期間設定を採用しているトレーダーが多いほどに指標の信頼性も増すのです。

逆に、誰も見ていないような期間設定だとシグナルが出ても売買は行われず、分析しても的外れなものとなってしまいます。結論として、ポピュラーな設定こそが「最強」である、といえるでしょう。

ポピュラーな期間設定は、どうやって判断したら良いですか?

それについては、この後解説していきましょう。移動平均線はスキャルピングやデイトレードなど、トレードスタイルによっても使用する期間設定が変わるので、自分のトレード環境に合わせて最適な設定を見出す必要があります。

トレードスタイル別の移動平均線おすすめ設定

それでは、具体的にトレードスタイルごとに推奨される移動平均線の期間設定を見ていきましょう。

前提として、移動平均線は後述するゴールデンクロスやデッドクロス、パーフェクトオーダーの判断のために、異なる期間設定で3本表示することをおすすめします。下記にまとめたものが、トレードスタイルごとの期間設定の組み合わせ例です。

  • スキャルピングのおすすめ期間設定例
    • 5MA+10MA+21MA
  • デイトレードのおすすめ期間設定例
    • 5MA+14MA+50MA
    • 10MA+21MA+75MA
  • スイングトレードのおすすめ期間設定例
    • 5MA+50MA+100MA
    • 21MA+75MA+200MA

移動平均線の期間設定はポピュラーなものを選ぶべき、と説明しましたが、世界中で使用されている移動平均線にはトレーダーごとの組み合わせがあり、特定のパターンによる正解は存在しません。そのため、「トレードスタイルごとに使用率が高いとされる組み合わせ」が最も機能しやすいと考えられます。

複数のパターンを掲載しているのは、相場状況次第で移動平均線の反応しやすさが変わる場合があるためです。特に、通貨ペアは種類によって反応しやすい期間設定が異なるケースもあるため、普段トレードしているチャート画面に表示してみて、より反応率の良い組み合わせを使ってみてください。

慣れてきたら、各短期線・中期線・長期線を下記にまとめたものと入れ替えて、反応の良いものを採用するのもベターです。

  • 短期線としてよく使われる期間設定:5、10、14、20、21など
  • 中期線としてよく使われる期間設定:50、60、75など
  • 長期線としてよく使われる期間設定:100、200など

移動平均線の期間設定は「使用率の高さ」が肝なので、日によって多少反応が悪くなっても頻繁に変更する必要はありません。とはいえ、相場は時節によって様相を変えるケースもあるため、1週間に一度や1ヶ月に一度など、一定期間ごとに期間設定が適切かどうか確認するのは効果的といえます。

スキャルピングにおすすめの期間設定

スキャルピングは短期取引を繰り返すトレードスタイルなので、移動平均線の期間設定も短期線の組み合わせがおすすめです。

  • スキャルピングのおすすめ期間設定例
    • 5MA+10MA+21MA
  • 短期線としてよく使われる期間設定:5、10、14、20、21など

スキャルピングは1回の取引時間が数秒~数分程度と非常に短く、細かな価格変動の中から小さな利益を積み重ねていくことになるので、使用する時間足としては1分足や5分足が適しています。21MAで現在の時間足におけるトレンドを確認した上で、5MAと10MAを使ってエントリーポイントを探していきましょう。

上のチャート画像でいうと、短期線が中期線を下抜けたところでデッドクロスが生じ、続いて長期線も突き抜けたことでパーフェクトオーダーに突入しています。デッドクロスの発生後は、下落した価格が一時的に戻る動きを見せることが多いため、長期線へのタッチで戻り売りが狙い目になります。

また、スキャルピングの場合はSMA(単純移動平均線)ではなくEMA(平滑移動平均線)を使ってみるのもおすすめです。

スキャルピングではトレードする時間足が短い分、相場の状況もハイスピードで変化します。SMAだとトレンドの初動への反応がやや遅れがちになる場面でも、EMAは値動きに対して素早く反応するため、スキャルピングの特性に適した移動平均線といえます。

20MAと21MAの選び方について

20MAと21MAは非常に近しい数値で、どちらも短期線として利用者の多い期間設定です。20については1ヶ月の営業日が20日であることから、1ヶ月の値動きの平均として採用されやすいという特徴があります。一方、21という数字はフィボナッチ数のため、人が無意識に好みやすい数字です。どちらかが優れている、劣っているということではないので、期間設定は好みや相場との相性から決定して問題ありません。

フィボナッチ数とは、イタリアの数学者フィボナッチが発見した数列の数字のことです。この数列は植物の螺旋の本数や花びらの数、果ては人体の呼吸器や血管の中にまで自然界に数多く存在します。さらにフィボナッチ数列は黄金比=「人間にとって元も魅力的でバランスの良い比率」と一致することでも知られていて、トレーダーがフィボナッチ数を好むのも必然といえますね。

デイトレードにおすすめの期間設定

デイトレードでは、短期線と中期線の組み合わせが移動平均線でおすすめの期間設定になります。

デイトレードは1日のうちに取引を完結するトレードスタイルで、トレーダーによってチャート分析に使用している時間足や、取引時間そのものが大幅に変わることも珍しくありません。そのため、下に挙げた例を軸に、普段使用している時間足との兼ね合いから微調整を重ねてみてください。

  • デイトレードのおすすめ期間設定例
    • 5MA+14MA+50MA
    • 10MA+21MA+75MA
  • 短期線としてよく使われる期間設定:5、10、14、20、21など
  • 中期線としてよく使われる期間設定:50、60、75など

実際に、デイトレードでエントリーポイントを探すことが多い5分足や15分足にそれぞれの組み合わせを当てはめてみると、下のチャート画像のような反応になります。短期寄りのパターンが適しているか、中期寄りのパターンが適しているか、自身のトレード環境に沿って判断することが大切です。

トレードの流れとしてはデイトレードの場合、先に4時間足や1時間足で環境認識を行います。

その際に、移動平均線全体の傾きからトレンド把握を行いつつ、短期線・中期線の動きから直近の値動きの傾向も掴んでおきましょう。下の4時間足チャートであれば、パーフェクトオーダー発生中に短期線が価格の上昇を抑え、さらにデッドクロスが発生したことから下降の勢いが強いことが確認できます。

そして、同日の15分足のチャートが下記の画像です。15分足ではデッドクロスとパーフェクトオーダーの発生で強い下降トレンドが発生した後、下落した価格が戻る動きを見せ、長期線にタッチしたところから再びパーフェクトオーダーで下降トレンドが継続しています。

エントリーポイントとなるのは、15分足で長期線にタッチしたタイミングです。4時間足で環境認識を行った段階ですでに下降の勢いが強いことは確認済みなので、デッドクロスとパーフェクトオーダーが発生した後に狙う戻り売りエントリーとしては絶好のチャンスといえるでしょう。

スイングトレードにおすすめの期間設定

スイングトレードは数日から数週間ポジションを保有するため、移動平均線は短期線・中期線・長期線の組み合わせが最適です。

デイトレードよりもポジションの保有期間が長期にわたるスイングトレードでは、使用する時間足や取引期間のバリエーションはさらに多くなります。その分、トレーダーごとに適した移動平均線の期間設定も幅が広がっているため、下の例を軸にトレード環境に合ったものへと調整してみてください。

  • スイングトレードのおすすめ期間設定例
    • 5MA+50MA+100MA
    • 21MA+75MA+200MA
  • 短期線としてよく使われる期間設定:5、10、14、20、21など
  • 中期線としてよく使われる期間設定:50、60、75など
  • 長期線としてよく使われる期間設定:100、200など

スイングトレードでは、大局的な視点から相場の長期的な方向性を見定められるかどうかが鍵になるので、日足や週足など大きな時間軸でチャートを見ることが多くなります。実際に日足や週足にそれぞれのパターンを当てはめると、中期寄りか長期寄りかで反応するラインやポイントが異なることがわかります。

スイングトレードでも、数日など比較的短期間の値動きを狙っていきたいなら100MAを軸にすることで価格が反発するポイントを押さえやすくなるでしょう。逆に数週間以上など、まとまった期間ポジションを保有し続けることが多いようなら、200MAを軸にするとトレンドを広く捉えて利益を伸ばしやすくなります。

トレードの流れはデイトレードと同様で、上位足で相場の環境認識を行った後、下位足でエントリーポイントを探します。スイングトレードであれば、日足や週足で相場全体のトレンドを把握した上で、1時間足や4時間足でエントリータイミングを測るという流れが理想的です。

100MAと200MAだと、だいぶ移動平均線の印象が変わりますね。レジスタンスラインやサポートラインとしての使い方だと、100MAの方がいいんでしょうか?

100MAの方が値動きに対する反応率は高いので、エントリーポイントやエグジットポイントを探る役割も兼ねるなら、100MAの方が使い勝手が良い場面は多くなるかもしれません。ただ、移動平均線はチャート画面が見づらくならないなら4本以上表示しても構わないので、スイングトレードなら100MAと200MA両方表示しておくのも手ですよ。

迷ったら汎用性の高い「200」を軸にするのがおすすめ

自身のトレードスタイルがまだ明確に定まっていない段階で、移動平均線のどの期間設定を使えば良いか迷うようなら、まずは汎用性が高い200MAを軸に考えてみてください。

200MAは、計算期間がおよそ1年間の営業日数に相当することから、1年間の値動きの平均を表す移動平均線として多くのトレーダーから利用されている期間設定です。相場を大きく動かす力を持つクジラや機関投資家にも注目されているため、同じ視点を持っておけば様々な場面で役立ちます。

「クジラ」「機関投資家」とは

マーケットにおける「クジラ」は、一般的に金融市場における大口投資家を指します。

「機関投資家」は生命保険会社や損害保険会社、年金基金、投資信託、ヘッジファンドなど、利用者から預かった資金を運用する機関の総称です。中には多額の資金を動かす機関も存在します。

クジラや大口の資金を動かす機関投資家が1回に取引するポジション量は、一般投資家に比べてはるかに多いため、取引がFX市場に影響を与えることがあります。

また、グランビルの法則においては200日移動平均線の信頼性が最も高いとされたことも、多くのトレーダーに支持されている理由です。

トレードの視点では、特にトレンドの判断が容易であることが200MAの強みとして挙げられます。ローソク足が移動平均線よりも上にあるなら上昇トレンド、下にあるなら下降トレンドと判断でき、ラインが横ばいでローソク足と絡まっていればトレンドが発生していないレンジ相場です。

トレンドの中ではレジスタンスラインやサポートラインとして機能する場面も多く、移動平均線との位置関係に応じてエントリーチャンスが近づいているかどうかがわかります。200MAをチャートに表示しておくだけでも、トレンドに逆行した勝率の低いエントリーをしてしまうリスクを減らせるでしょう。

ただし、200MAだけでは細かなエントリータイミングまでは測ることができません。

エントリーや決済の参考に200MAを活用するのであれば、短期線や中期線を同時に表示させて押し目買いや戻り売りを狙ったり、水平線やフィボナッチ・リトレースメントなど、ほかのテクニカル指標と併用するなどの工夫が大切です。

ちなみに、「200日移動平均線」なのだからあくまで適用できるのは日足までなのでは、という意見もありますが、基本的には5分足でも1時間足でも200MAはそのままの設定で使用して構いません。1時間足で200日を再現するために期間設定を変更する方法もあるのですが、やはり多くのトレーダーが使用しているであろう設定に合わせた方が信頼性は高いと考えられます。

まとめ:移動平均線の設定はテンプレートこそ強い

移動平均線はFX初心者でもトレンド把握からエントリーまで、トレード全体に役立つインジケーターです。

ただし、効果的に機能するかどうかは期間設定が鍵を握ります。移動平均線には全ての相場状況、時間足で万能に力を発揮するような「最強」の期間設定は存在しません。トレードスタイルに応じて利用者の多い期間設定を試していくことが、トレード環境に合った「最適」な設定にたどり着く秘訣です。

自身のトレード環境に適した期間設定を見つけることができれば、ゴールデンクロスやパーフェクトオーダーのシグナルを参考に、まとまった利益が期待できるようになるでしょう。もちろん、ほかのテクニカル指標と組み合わせればさらに勝率はアップするので、少しずつステップアップを目指してください。

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