ソーサートップ・ソーサーボトムとは?形成される理由やトレード手法を解説

チャート分析

FXには様々なチャートパターンがありますが、初心者から上級者まで幅広いトレーダーが理解しておきたいチャートパターンのひとつが、ソーサートップ・ソーサーボトムです。

チャートパターンとしては見分け方が難しく、出現の頻度も少な目ですが、どちらも相場の高値圏や安値圏でトレンド転換のシグナルとして出現するのが特徴です。そのため、ソーサートップ・ソーサーボトムを上手く活用すれば、トレンド転換の初動を捉えることができます。

そこで今回は、ソーサートップとソーサーボトムについて、形成される理由や有効なトレード手法、注意点を合わせて解説していきます。

この記事でわかること
  • ソーサートップやソーサーボトムは高値圏や安値圏で出現するチャートパターン
  • ネックラインを抜けたらほかのテクニカル指標も参照しつつ売買エントリーのチャンス
  • 形成まで時間がかかることが多いため、焦らず「待つ」ことが大切

ソーサートップとは

ソーサトップとは、チャートが上向きに盛り上がったお皿の型を形成するチャートパターンの名称です。

ソーサーは日本語で「お皿」を意味し、コーヒーカップの受け皿を指します。チャートが緩やかなカーブを描いてお皿のような形になることからこのような名称がついています。

相場が天井圏に達した時に現れ、相場の上昇トレンドが徐々に勢いをなくして下降した時に完成します。

ソーサートップが出現し、上昇トレンドの中で直近の安値を下回ると、相場が下降トレンドへ転換するシグナルと捉えることが可能です。この時、直近の安値であり、これまでの相場でサポートラインとして機能していたラインは、ブレイクされた後にはネックラインへと転換されます。

将来の相場ではネックラインがレジスタンスラインとして市場で意識されるため、ソーサートップは主に売りでエントリーする時の根拠となります。

ソーサートップを活用した具体的なトレード手法

ソーサートップの基本を押さえた上で、具体的な活用方法についても見ておきましょう。

先ほども解説したように、ソーサートップは上昇トレンドから下降トレンドへのトレンド転換のシグナルや、相場が反発するレジスタンスラインとしての機能を持つチャートパターンです。しかし、ソーサートップ単体ではエントリーの根拠としては乏しく、ほかのトレード手法との組み合わせが推奨されます。

  • ネックラインと水平線が重なるラインで売りエントリー
  • ネックラインとフィボナッチ・リトレースメントで売りエントリー
  • MACDの売りシグナルが重なったタイミングで売りエントリー

このように、シンプルなトレード手法であってもソーサートップとの組み合わせで強固な根拠となるため、確信を持ってエントリーできるよう備えておくことが大切です。

ネックラインと水平線が重なるラインで売りエントリー

すでに説明したように、ソーサートップが形成された後、それまでサポートラインとして機能していたネックラインはレジスタンスラインとして意識されるようになります。

レジスタンスラインは上昇してくる値動きに対して反発しやすいという特徴を持ちますが、チャート上に引ける水平線はソーサートップのものに限りません。チャートの高値や安値から引くことができる、ほかの水平線とも重なるようなら、反発する可能性はさらに高まります。

特に、日足や週足など、長い時間軸で確認できた水平線とネックラインが重なっている価格帯は、売りでエントリーをする絶好のポイントとなります。

トレンドの転換後はいかに早く、有利なポジションで波に乗れるかが重要になるため、複数のラインが重なるポイントでは積極的にエントリーを試みましょう。

ネックラインとフィボナッチ・リトレースメントで売りエントリー

レジスタンスラインとして機能するソーサートップのネックラインと、フィボナッチ・リトレースメントのラインが重なる価格帯も、売りでエントリーをするのに適したポイントです。

ソーサートップでは直前に上昇トレンドが発生していることから、フィボナッチ・リトレースメントを引きやすいという特徴を持ちます。そのため、2つの手法は非常に組み合わせやすく、再現性も高いというメリットがあります。

フィボナッチ・リトレースメントで特に反発する可能性が高いとされているのは、38.2%、50.0%、61.8%のラインです。これらの数字のラインとネックラインが重なっていれば、相場が反発する強い根拠と読み取ることが可能です。

MACDの売りシグナルが重なったタイミングで売りエントリー

チャート上でのソーサートップ形成と、MACDのデッドクロスのタイミングが重なった場合も、上昇相場から下降トレンドへ転換する大きなシグナルと読み取れます。

補助指標で表示されるMACDのデッドクロスは、上昇トレンドから下降トレンドへの転換を示すため、同じ意味合いを持つソーサートップとの相性が良いテクニカル指標です。ソーサートップとMACD、2つのシグナルを組み合わせることで、トレンド転換と判断する強い根拠になります。

特に、MACDのデッドクロスがゼロラインより上で発生した時は、相場転換の可能性が高いと判断できます。その後の相場でソーサートップのネックラインがレジスタンスラインとして機能する可能性も同様に高まるため、トレンド転換に備えておきましょう。

MACDの表示設定は、シグナル9:短期12:長期26が一般的です。設定する数値はメジャーなものほど見ているトレーダーも多いため、あまり難しく考えず、一般的な設定方法にならっておけば問題ありません。

ソーサーボトムとは

ソーサボトムとは、チャートが下向きに盛り下がったお皿の型を形成するチャートパターンの名称です。

ソーサートップとは反対に、相場が底値圏に達すると現れ、相場の下降トレンドが徐々に勢いをなくして上昇した時に形成されます。

ソーサーボトムが出現し、下降トレンドの中で直近の高値を上回った時には、相場が上昇トレンドへ転換するシグナルと捉えることが可能です。また、直近の高値でレジスタンスラインとして機能していたラインは、ブレイクされた後にはネックラインへと転換されます。

ネックラインは転換後、サポートラインとして市場で意識されるため、ソーサーボトムは主に売りでエントリーする時の根拠となります。

ソーサーボトムを活用した具体的なトレード手法

ソーサーボトムについても、基本を押さえたところで具体的な活用方法についても見ていきます。

先ほども解説したように、ソーサーボトムは下降トレンドから上昇トレンドへの転換のシグナルや、下降相場が反発するサポートラインとしての機能を持つチャートパターンです。しかし、ソーサーボトムだけでエントリー根拠とするには心許ないため、ほかのトレード手法と組み合わせての運用が推奨されます。

  • ネックラインと水平線が重なるラインで売りエントリー
  • ネックラインとフィボナッチ・リトレースメントで売りエントリー
  • MACDの売りシグナルが重なったタイミングで売りエントリー

組み合わせるトレード手法は、水平線やMACDなどのシンプルなもので構いません。それぞれのサインが重なった時には強いエントリー根拠となるため、日頃から意識しながらチャートを確認しておきましょう。

ネックラインと水平線が重なるラインで買いエントリー

ソーサーボトムの場合、それまでレジスタンスラインとして機能していたネックラインは、転換後に相場の下落を支えるサポートラインとして機能します。

先ほども説明したように、ソーサーボトムのネックラインだけではエントリーの根拠としては十分とはいえません。しかし、チャート上の高値・安値を結んだほかの水平線と重なっているようなら、反発可能性の高い価格帯と判断できます。

特に日足や週足といった、大きな時間軸で引けた水平線とネックラインが重なった場合は、買いエントリーの効果的なポイントといえるでしょう。

ネックラインとフィボナッチ・リトレースメントで買いエントリー

ソーサーボトムのネックラインが転じた後のサポートラインと、フィボナッチ・リトレースメントのラインが重なった場合も、買いでエントリーをする絶好のポイントです。

ソーサーボトムでは直前まで下降トレンドが続いているため、フィボナッチ・リトレースメントを引きやすい相場環境が整っています。そのため、ソーサーボトムとフィボナッチ・リトレースメントは積極的に狙っていきたい組み合わせといえます。

フィボナッチ・リトレースメントは38.2%、50.0%、61.8%のラインで反発可能性が高いといわれるため、ネックラインとが重なる価格帯がないかチェックしましょう。ネックラインとフィボナッチのラインが重なっている価格帯なら、厚い根拠のもとで買いエントリーが可能です。

MACDの買いシグナルが重なったタイミングで買いエントリー

MACDの買いシグナルであるゴールデンクロスとソーサーボトムの形成が重なれば、下降相場から上昇相場へ転換する大きなシグナルです。

MACDのゴールデンクロスは、下降トレンドから上昇トレンドへの転換を示します。同じ意味合いを持つソーサーボトムとは好相性で、2つのシグナルが重なったタイミングはトレンド転換の強い根拠にすることが可能です。

特に注目すべきは、MACDのゴールデンクロスがゼロラインより上で発生した場合です。こうした状況だと、トレンド転換だけでなく、ソーサーボトムのネックラインが転換後にサポートラインとして機能する可能性も高いと考えられるため、買いエントリーの好機となるでしょう。

MACDの設定は、ソーサートップと同様シグナル9:短期12:長期26がおすすめです。ソーサートップ、ソーサーボトムのいずれであっても、MACDは同じ設定で運用できます。

ソーサートップ・ソーサーボトムが形成される時の相場心理

ソーサートップ・ソーサーボトムの理解を深めるために、形成される過程の相場心理についても見ておきます。

ソーサートップやソーサーボトムが形成されるのは、強いトレンドの後に相場が落ち着き、買い手と売り手が押し合うレンジ相場となった時です。

トレンドが一段落するタイミングには、トレンドに上手く乗って利益を確定するトレーダーがいる一方で、「まだ値段が上がる(下がる)だろう」と押し目買いや戻り売りを狙うトレーダーや、「相場が天井圏(底値圏)に達した」と判断して逆張りをするトレーダーも存在します。

このように、市場に参加するトレーダーの様々な思惑からチャートは揉み合いの状況となり、ソーサー(お皿)型のチャートパターンとなって反映されるわけです。

そして、ソーサートップ・ソーサーボトムが形成されてトレンド転換が起こる時には、レンジ相場におけるラインブレイクと同様、それまでに溜められていた力が一気に解放されます。そのため、揉み合いの間に積み重なった損切り注文なども巻き込みつつ、トレンド転換へと動くのです。

ソーサートップ・ソーサーボトムを活用する際の注意点

最後に、ソーサートップ・ソーサーボトムをトレードに活用するにあたっての注意点をまとめておきます。

ソーサートップとソーサーボトムは、トレンド転換の初動を捉えるのに役立つチャートパターンです。ネックラインとほかのテクニカル指標を併用して有利なポジションを獲得できれば、相場の大きな波に乗って利益につなげることができます。

一方で、チャートパターンの中でも見分け方が特に難しいなどの難点もあるため、トレードで有効に活用するためには、いくつかの注意点を認識しておくことが必要です。

ソーサートップ・ソーサーボトムは出現頻度がそれほど高くない

ソーサートップ・ソーサーボトムは相場の高値圏と安値圏で形成されるため、出現頻度はそれほど多くないのが特徴です。

FXでは、相場の約7割が持ち合いであるレンジ相場といわれています。しかし、トレンドの転換シグナルとしての意味合いが強いソーサートップとソーサーボトムは、残りの3割であるトレンド期で発生するチャートパターンです。

しかも、上昇トレンドや下降トレンドの中で必ず出現する訳ではなく、①相場が一方向に動いた後、②持ち合い(レンジ)相場がしばらく続き、③直近の高値または安値を更新してトレンドを転換する、という複数のプロセスを踏まなければ形成されません

こうした過程を考えると、ソーサートップ・ソーサーボトムの出現頻度はそれほど高くないことがわかります。特に、日足や週足などの長い時間足で見るほど、出現率はさらに低下するため、少ないトレード機会を見逃さないように相場をよく監視しましょう。

ネックラインを引く時には「プラットフォーム」に注目する

これまでに解説してきたように、ソーサートップ・ソーサーボトムはネックラインがトレードの鍵となっています。

問題はネックラインの引き方で、正しい位置に引くことができなければソーサートップ・ソーサーボトムの分析もうまく機能しません

ソーサートップ・ソーサーボトムでは、チャートを形成する際に相場の高値圏や底値圏で緩やかな弧を描いた後で逆方向に相場が進行し、その後、再度短期の持ち合い(レンジ)相場となります。そしてネックラインは、その際に出現する「プラットフォーム」に注目して引く必要があります。

プラットフォームとは、ソーサートップやソーサーボトムの形成直前で現れる短期間の持ち合いです。

例えばソーサートップであれば、天井圏でレンジ相場が形成された後、さらに短期の持ち合いであるプラットフォームに移行します。そして、プラットフォームの安値を下回ることでソーサートップの形成が完了し、プラットフォームの安値ネックラインとなります。

ソーサートップやソーサーボトムがチャートパターンとして完成するのは、プラットフォームの高値または安値を更新した時とされています。そのため、エントリーを狙うのであれば必ずプラットフォームが形成され、レジスタンスライン・サポートラインとして機能するまで待ちましょう。

損切りラインは最高値・最安値に置いておく

実際のエントリー後に損切りを設定する際には、ソーサートップやソーサーボトムの最高値・最安値が目安となります。

ソーサートップやソーサーボトムは、相場の高値圏や底値圏で出現するという特性を持ち、トレンド転換としての意味合いが強いチャートパターンです。つまり、ソーサートップやソーサーボトムが完成した場合、直近の高値や安値を更新しない限りは、転換後のトレンドが継続していると判断できます。

ダウ理論の考え方にもある通り、トレンドは「高値又は安値を明確に更新しない限り継続している」と考えられます。そのため、直前のトレンドで記録した最高値・最安値に損切りラインを置いておけば、自然とトレンドに沿ったトレードをすることが可能です。

まとめ:ソーサートップ・ソーサーボトムは完成まで待つことが大切

ソーサートップ・ソーサーボトムは、相場の高値圏や安値圏で出現し、相場のトレンド転換や反発点の見極めに有効なチャートパターンです。

ソーサートップやソーサーボトムが形成されれば、ネックラインを超えた時にエントリーをする大きなチャンスを掴むことができ、他のテクニカル手法と合わせて活用することで、より根拠の強いトレードが可能です。

しかし、チャートパターンとしては出現頻度が低く、形成されるまでに相応の時間がかかるため、FX初心者のうちは特に焦ってエントリーをしがちです。2つのチャートパターンは、完成された時に初めてトレンド転換のシグナルやレジサポラインとして機能するため、チャートパターンの完成を待つことは非常に大切となります。

相場が転換したからと焦らずに、相場をよく監視しながら少ないチャンスを見逃さないようにしましょう。

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